rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

14 4月

月額基本料金なしで仕事用の電話番号を取得

仕事用として外部公開する電話番号が必要になりました。今は携帯電話しか持っておらず、プライベートでも使うこの番号は公開できません。そもそも仕事柄電話をすることもほとんどないので、携帯電話(あるいはSIM)をもう一台契約する気にもなれません。

どうにか安価に電話番号をもう1つ持てないだろうかと悩んでいたところ、「IP電話アプリ」という選択肢を思い出しました。これはスマートフォン上にアプリをインストールすることで、携帯電話端末自体の「090…」といった番号の他に、「050…」で始まる番号を追加できるサービスのことです。

以前からNTTコミュニケーションズが提供している「050 plus」は知っていたのですが、月に基本料として300円ほどかかります。安いことは安いです。しかしほとんど通話はしないので、維持費はもっと安ければありがたいところです。

調べていると、楽天コミュニケーションズが提供している「IP-Phone SMART」というサービスを見つけました。



このIP-Phone SMARTは月額基本料は無料。さらに留守番電話サービスも無料。電話番号を外部に出すと面倒なセールス電話などがかかってくる可能性もあるので、まずは留守番電話で受けたいところです。
そこでIP-Phone SMARTでアカウントを作成し、050で始まる番号を取得しました(残念ながら050 plusと違って番号を選べない)。

マイページにログインすると下の写真のように留守番電話を設定できます。ここでは、
 ・着信したら即座(呼び出し音なし)に留守番電話に切り換え
 ・着信があったことを登録したメールアドレスに通知し、さらに音声録音ファイルも添付で送る
という設定にしました。



試しに取得した050番号に電話し、メッセージを残してみました。その後マイページを開いて留守番電話の履歴を見ると、こんな具合で残っています。「発信元電話番号」の灰色部分は私の携帯電話番号です。



録音時間が11秒ですが、この時間でファイルサイズは211KBでした。添付ファイルで転送されてきても問題ないサイズです。
録音件数は10件までなので、聞いたファイルは「削除」のボタンから消していくことになります。最初の画像に「メール送信後に録音データ削除」というオプションがあるので、これをオンにしておけば自動で消えていくようです。

そもそもこのサービスを使うには「SMARTalk」というスマートフォン用アプリ(AndroidとiPhone対応)をインストールします。初期設定では050にかかって来ると、スマートフォンでも呼び出し音が鳴ります。
私の場合、とりあえず留守番電話で受けてから対応する(かけ直すなど)つもりなので、呼び出し音がなると困ります。アプリの設定を見ると「発信専用で利用する」というオプションがありました。



これを設定しておけば、発信音が鳴ることはないでしょう(まだ試してない)。留守番電話に録音があった時点で初めて、メールで通知が来ます。

私のようにそもそも電話はほとんど使わない(嫌いでもある)が、電話番号を外部に出す必要がある場合、IP-Phone SMARTは安価かつ便利に使えるのではないでしょうか。
11 4月

5/16(月)と27(金)にJTFスタイルガイドセミナー

再案内になりますが、来月5/16(月)と5/27(金)にJTF(日本翻訳連盟)の主催による「スタイルガイドセミナー」があります。全4回ですが、1講座ごとの受講ももちろん可能です。
http://www.jtf.jp/jp/style_guide/styleguide_seminar.html

私は第2回である5/16午後の「JTF日本語スタイルチェッカーの基礎と応用」で講師を務めます。内容は以下の通りです:
ウェブブラウザー上で手軽に利用できるJTF日本語スタイルチェッカーは、JTFスタイルガイドのルールに従っているかどうかをチェックする基礎的な機能に加え、「正規表現」でチェック内容をカスタマイズできる機能を備えています。間違いやすい項目を正規表現としてまとめておき、納品前に訳文をチェックするといった活用が可能です。セミナーでは少人数のハンズオン形式で、同チェッカーの使い方と正規表現の基本を学びます。

引用部分にもあるようにハンズオン形式なので、パソコンの持ち込みが必要となります。

ちなみに5/16午前は「TransQA」というツールのハンズオン形式セミナー、5/27は「日本語ブラッシュアップセミナー」と「スタイルガイド入門」が開催されます。

スタイルは一般的に「翻訳品質」の重要な一要素だと考えられています。本セミナーでスタイルガイドに関する理解を深め、品質向上を目指してください。
5 4月

翻訳における機能主義と品質評価

翻訳の仕事をするのに理論は不要だが、世の中には翻訳理論がいくつもある。その中でも比較的実務に近いとされているのが「機能主義」である。海外の専門職大学院の翻訳専攻でも、機能主義的な教育方法が用いられているようだ(日本で取り入れている大学はほとんどないだろうが…)。

機能主義はこのように説明される:
起点テクストと照らし合わせながら目標テクストを分析し,等価の有無や種類について論じるアプローチとは異なり,目標テクストの目的,つまり翻訳が何のために使われるのかに焦点を当てるのが,機能主義的アプローチと呼ばれるものです。つまり,翻訳の方法は,その翻訳がどのようなコミュニケーション目的で使われるのかによって定まるという考え方です。
(『よくわかる翻訳通訳学』p.122、ミネルヴァ書房)


この機能主義の考え方は、翻訳品質評価手法に取り入れられている。MQM、DQF、ASTMあたりが代表的であると考えられる。例えばMQMには以下のように明示されている。
Instead it adopts the “functionalist” approach that quality can be defined by how well a text meets its communicative purpose.
http://www.qt21.eu/mqm-definition/definition-2015-12-30.html


ではこの目的自体は誰が決めるかというと、翻訳の「依頼者」であるとされている。翻訳者から見れば翻訳会社(やその前にいるクライアント)になる。MQMにおける品質の定義にもそれは反映されている。
A quality translation demonstrates required accuracy and fluency for the audience and purpose and complies with all other negotiated specifications, taking into account end-user needs.
http://www.qt21.eu/mqm-definition/definition-2015-12-30.html
(仮訳: 質の高い翻訳は、読者と翻訳目的に求められる正確さと流暢さを備え、エンドユーザーのニーズを考慮しつつ、取り決められたあらゆる仕様に従っている)

依頼者との交渉で決められるのが「仕様」(specification)であるため、この部分に機能主義的アプローチが取り入れられていると思われる。しかし、よく見ると読者(audience)やエンドユーザー(end-user)といった言葉も見える。これは以前のブログ記事で紹介したGarvinの5分類の考え方も反映されているのだろう。

実のところ、海外の翻訳業界では品質に関する議論が熱い。これはISO 17100によって翻訳サービス(プロセス)に関する国際標準ができたため、次は翻訳成果物(プロダクト)の品質評価だという動きがあるからだと考えられる。MQM、DQF、ASTMの関係者はそういった国際標準の構築に向けて努力しているようだ。MQMなどの基礎部分には上記の「機能主義」の考え方がある点を把握しておくと、将来日本に入って来た際に理解もしやすいのではないだろうか。
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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

IT分野の英語翻訳者でソフトウェア開発者。ソフトウェアのインターナショナリゼーションやローカリゼーションが専門。

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