rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

22 9月

JTF翻訳祭(2016年)の翻訳品質関連セッションに登壇

2016/11/29(火)に開催されるJTF翻訳祭に登壇します。

プログラムの詳細はこちら:
https://www.jtf.jp/festival/festival_program.do

私が出るのは翻訳品質に関する以下のセッションです。

 14:30〜16:00:世界が見る翻訳の品質、日本が見る翻訳の品質

内容的には以下の点について発表(ディスカッション)します。

・各国の翻訳品質規格の紹介
・最新の品質評価方法の紹介
・「JTF翻訳品質評価方法に関する業界アンケート」結果の分析
・日本における翻訳品質ガイドラインの制作検討

翻訳会社で品質管理を担当している方が何人も登壇するので、普段外から見えないところでどういう努力をしているのかという話も聞けるかと思います。

JTF_2016

以上です。
20 9月

JTFジャーナル#285に記事掲載

JTFジャーナルの2016年9/10月号(#285)に私の連載記事が掲載されています。リンクはこちら:

#285号のPDF
JTFジャーナルのウェブサイト

私の記事はp. 26からの「第3回:従来のエラーベース評価手法図」です。現在業界で主流の評価方法はエラーベース手法とされていますが、その中でも代表的な2つを取り上げています。
特にLISA QA Modelはローカリゼーション分野で(形を変えながら)浸透しています。ただしLISAが解散してしまったこともあり、更新がなされていません。次回以降は新しく提唱されているエラーベース手法を紹介していきます。

JTFJournal285


あと、ウェブサイトの方にイベント報告として、私の講演レポートが掲載されています。どうもありがとうございます。

 AAMT総会(招待講演報告)
 http://journal.jtf.jp/eventreport/id=609

以上です。
14 9月

言語によるエラー分類の違いをどう扱うか

先日、会社のウェブサイトにDQFエラー分類の日本語解説を載せた。
これを書いているときに感じたのは、やはりヨーロッパ言語の発想が色濃いということだ。

例を挙げると、「流暢さ」カテゴリーに「文法上のレジスター」という詳細カテゴリーがある。レジスターとは、ある状況(どういった人間関係か、話し言葉か書き言葉か、など)に適した言葉遣いのことである。
具体例としてDQFは敬称を用いるべき場面で親称を用いているエラーを挙げている。例えばドイツ語なら「Sie」の場面で「Du」という代名詞、フランス語なら「Vous」の場面で「Tu」という代名詞、スペイン語なら「Habla」の場面で「Hablas」という動詞を使うケースが該当する。
日本語の場合も「あなた」や「君」という言葉はもちろんあるが、それよりも大きな問題になりそうなのは「敬語」であったり「敬体/常体」の使い分けだったりだろう。果たしてこれらを「文法上のレジスター」という項目に入れてしまってよいのか悩ましい。ちなみにJTFスタイルガイドでは「敬体/常体」という項目を扱っている。だから日本語では「スタイル」カテゴリーのエラーにもなり得る。

別の例としては、同じく「流暢さ」カテゴリーの「スペル」という詳細カテゴリーである。日本語の場合、スペルミスのようなものはもちろん考えられる(例:「ありかとう」)。しかし、よりあり得そうなのは同音異義語(例:対象/対照/対称)の入力ミスといったエラーではないだろうか。ところがこれをもし「スペル」という項目で分類するとしたら違和感を覚える。

実のところ、DQF(あるいはMQM)のエラー分類は日本語での運用実績が乏しい。細かな分類で担当者が悩む状況は発生するだろう。

それはさておき、いま日本の翻訳業界が考えるべきは、エラー分類を巡る世界的な動きだと思われる。
かつてISOではプロダクト(翻訳成果物)の評価方法について議論されたが、紛糾して頓挫したことがある(2012年)。現在、プロダクトの評価方法について再度議論しようという動きがある。そのときは(DQFやMQMが参考にされるかは別にして)、エラー分類も検討されるだろう。ヨーロッパ言語を前提としたエラー分類の場合、上記のように日本語にうまくフィットしない項目が出てくるはずだ。日本の翻訳業界としては「日本語も考慮したエラー分類」について今から議論を深めておいた方がよいかもしれない。
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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者/コンサルタント。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所代表社員。ソフトウェアのインターナショナリゼーションやローカリゼーションが専門。

プロフィールや連絡先などについては会社のウェブサイトをご覧ください。
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