rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

12 3月

グローバル英語のスタイル(8):センテンスの長さに注意する

長いセンテンス(文)は短いセンテンスと比べると、あいまいさや複雑さが発生するため、読解や翻訳が難しくなる。
Style Guide では、手順(タスク)を表す文は 20 ワード以内、概念を説明する文は 25 ワード以内にするべきだと提案している。それを超えるセンテンスは、分割または構成を見直すようにする。

例として次を挙げている。
× If Chololate Bits is set to "No", indicating that there are no chololate bits in the sample batch of ice cream, then the selections for Enough Bits and Size of Bits are grayed to prevent users from entering irrelevant data (40 words)

○ If Chololate Bits is set to "No", then there are no chocolate bits in the sample batch of ice cream. Therefore, the selections for Enough Bits and Size of Bits are grayed to prevent users from entering irrelevant data (20 words + 19 words = 39 words)
のように、「therefore」といった言葉でセンテンス同士をつなぐことで分割できる。

代表的なつなぎ語としては、以下のようなものが挙げられる。
・順序: first、then(next、second)、finally(last)
・追加: furthermore、moreover、besides、also
・結果: therefore、thus、hence、as a result
・逆接: however、nevertheless、yet、on the contrary
・結論: in conclusion、in short、after all

ただし、どうしても長い文を分割できない場合は、文中の節を 1 つだけとする、節間の関係を論理的に構成する、といった対策を採る。これによって意味が明確になり、翻訳もしやすくする。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.1」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
クチコミを見る
11 3月

グローバル英語のスタイル(7):名詞の単数と複数を正しく使う

名詞を単数形とすべきときに複数形、複数形とすべきときに単数形を使うと、意味が不明瞭になることがある。
そのため、間違った理解や誤訳という結果を招いてしまう。

Style Guide では次の例を挙げている。
× All the data items shown in Figure 7 have a numeric value.
これは、items が複数であるのに value が単数形であるため、矛盾している。ただしすべての items が同一の value を持っている場合は間違いではないが、次の文の方が明瞭である。
○ All the data items shown in Figure 7 have the same numeric value.
すべての items が複数の value を持つ場合は、次の文が正確である。
○ All the data items shown in Figure 7 have numeric values.
また、それぞれの item がそれぞれ 1 つの value を持つ場合は、次の文が正確である
Each data item shown in Figure 7 has a numeric value.
名詞に単数形と複数形がない日本語を母語にする者にとって、判断は難しい。
しかし、「the same」や「each」といった、指示対象を明確化する言葉を補うことで、誤解のリスクを低減することは可能である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.9」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
クチコミを見る
10 3月

グローバル英語のスタイル(6):the は何を指しているか明確な場合のみに使う

「the」という定冠詞は英語で非常によく使われるものの、英語を母語とするプロのライターでさえよく間違える。間違った使い方をすると読者を混乱させることになったり、誤訳の原因になったりするので注意が必要だ。

「the + 名詞」という形は、何を指しているか読者にとって明確な場合に使用する。以前に話題になったことのない名詞に the を付けると、読者は混乱してしまう。

Style Guide では次の例を挙げている。
I saw the dog on my way to work.
この場合、話す人と聞く人の間で以前に dog について話題になったことがあり、そのためどの dog を指しているか明確な場合にのみ the が使える。逆に言うと、初めてその dog を話題にする場合、a を使うことになる。

また Style Guide では別の例を挙げる。
× HIERLIST is a list that show the hierarchy.
例えばマニュアルのそれまでのページにこの hierarchy が出ていない場合、a hierarcy にする。ただし「the hierarchy that was specified for the organizational chart」など、that を使って対象を限定する場合、the が使える。

日本人にとっては the の使用が最も難しいのではないかと思う。上記のような原則は中学や高校の英文法で勉強しているはずだが、それでも判断に迷うことが多い。ただしネイティブでもよく間違えるとのことなので、最初は完璧を目指さなくてもいいかもしれない。
例に挙がっているように that などで指す対象を明確にすると the が使える。しかし、that で限定すればすべて the になるかと言うと、そうでもない。例えば、
  ・the product that the company sells...
  ・a product that the company sells...
の場合、前者は特定の製品を表し、後者は数ある製品のうちの 1 つを表している。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.6」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
クチコミを見る

著書
ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


英語語源が魔術に変わる世界では
『英語語源が魔術に変わる世界では』


現場で困らない! ITエンジニアのための英語リーディング
『IT英語リーディング』


アプリケーションをつくる英語
紙版
『アプリケーションをつくる英語』

電子版
『アプリケーションをつくる英語』
第4回ブクログ大賞受賞】