rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

5 4月

グローバル英語のスタイル(21):関係詞の限定用法には that を使う

関係詞の「限定用法」とは、先行する名詞を特定する方法である。限定用法の反対は「継続用法」であるが、次のような違いがある。

・限定用法
She has two sons who are doctors.
・継続用法
She has two sons, who are doctors.

前者では「医者をしている息子が 2 人いる」と息子を特定し、「医者をしていない息子がいる」可能性を示唆している。逆に後者は「2 人息子がいて、医者をしている」となり、「2 人の息子全員が医者をしている」ことを表している。

上記の例は人を指す who であるが、物を指す which も関係詞として使える。その際、限定用法では which ではなく that を使うようにする。このルールに従うことで、文に一貫性を持たせられる。
Style Guide の例:
× A DBMS client is an application which manages connections to a specific DBMS.
○ A DBMS client is an application that manages connections to a specific DBMS.
(参考訳:DBMS クライアントは、ある DBMS への接続を管理するアプリケーションです。)


which を継続用法として使う場合、「, which」とカンマを付加することが多い。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「4.4」の内容に該当する。


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2 4月

グローバル英語のスタイル(20):関係詞節が何を修飾しているのか明確にする

関係詞とは、文同士を接続しつつ主語や目的語、または副詞になる語である。例えば that や which は主語や目的語となり(関係代名詞)、場所を表す where や時を表す when は副詞となる(関係副詞)。

本記事で説明する関係代名詞の that は、前に出現する名詞を修飾する。そのため、前に複数の名詞があると、どれを修飾しているの不明確になってしまう。何らかの工夫が必要となる。
Style Guide の例:
○ Click [Overview] to view short descriptions of the products that include information links.
× Click [Overview] to view short descriptions of the products. Each description includes information links to more-detailed information.
(参考訳:製品の説明を表示するには [Overview] をクリックします。それぞれの説明には、より詳細な情報へのリンクが含まれています。)

前者の場合、that 関係詞節が descriptions にかかるのか products にかかるのか判断できない。後者では文を 2 つに分け、description を修飾していることを明確にして、曖昧さを排除している。

上記の例では関係詞節の動詞が include であった。もし仮に名詞のいずれかが単数形であれば、それにはかからない。単数形を修飾するのは includes だからである。
このように動詞の形から、何を修飾しているのか判断できる場合もある。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「4.3」の内容に該当する。


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31 3月

グローバル英語のスタイル(19):前置詞句が何を修飾しているか明確にする

「グローバル英語のスタイル(18)」では、only と not は修飾する部分の直前に置くというルールについて書いた。これとは逆に、前置詞句は修飾する部分の後ろに置く。ただし直後に来るとは限らないため、曖昧さが発生することがある。
例えば Style Guide では次の例を挙げている。
Enter text that you want to appear at the top of the window.

at の前置詞句が Enter を修飾している場合、「ウィンドウの最上部に入力する」と解釈できる。逆に to appear を修飾している場合、「ウィンドウの最上部に表示される」と解釈できる。どちらにも解釈できるため曖昧である。
特にソフトウェアのユーザー インターフェイスを翻訳する場合、実際にソフトウェアが手元になければ、確認できないため誤訳につながってしまう。

前置詞句で曖昧さに対処するには、次のような方法がある。

A. 前置詞句が of で始まる場合
前置詞句が of で始まる場合、曖昧になることはまずない。of の直前の名詞句を修飾している。そのため、何もする必要はない。
Style Guide の例:
For a text version of this Web site, go to text.uchicago.edu.

B. 前置詞句が動詞句を修飾している場合、移動を検討する
動詞句と前置詞句の間に名詞が入る場合、どちらにかかるか曖昧になる可能性がある。この場合、次のように対処できる。

・前置詞句を文頭に移動する
Style Guide では次の例で説明している。
× Only 17 characters are available for the table name on a standard table label.
On a standard table label, only 17 characters are available for the table name.
(参考訳:標準の表ラベルでは、表名に使えるのは 17 文字だけです。)

前者の場合、on で始まる前置詞句がどちらを修飾しているのか分からない。しかし、後者のように文頭に移動させることで、are available を修飾していることが明確になる。

・修飾している動詞の近くに前置詞句を移動する
Style Guide の例を引用する。
× The server enables a client user to share data across platform with other users.
○ The server enables a client user to share data with other users across platform.
(参考訳:このサーバーにより、クライアントのユーザーはプラットフォーム間で他のユーザーとデータを共有できる。)

with で始まる前置詞句を to share の近くに移動させることで、share を修飾していることが明確になる。

B. 前置詞句が名詞句を修飾している場合、関係詞節への変換を検討する
上記 A と同様、前置詞句の前に修飾の対象が複数あると、どれを修飾しているのか分からない。そこで前置詞句が名詞句を修飾してる場合、関係詞節へ変換すると曖昧さがなくなる。
Style Guide の例:
× The PRINT statement prints the data in the SPSS file.
○ The PRINT statement prints the data that is in the SPSS file.

前者の場合、in で始まる前置詞句は prints を修飾しているとも data を修飾しているとも解釈できる。しかし後者のように that で関係詞節にすることで、data を修飾していることが明確になる。

C. 必要であれば翻訳者向けの注意書きを付ける
どうしても曖昧さを排除できない場合、何を修飾しているのかという注意書きを付ける。これにより誤訳を減らすことができる。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「4.2」の内容に該当する。


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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
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