rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

24 3月

グローバル英語のスタイル(15):見慣れない構文は使わない

次に挙げる構文は、英語の非ネイティブは見慣れていないことが多く、機械翻訳でも問題が発生することがある。言い換える方法はいくつもある。

(1)受動態の get
受動態では「be 動詞 + 過去分詞」が通常であるが、be 動詞の代わりに get が使われることがある。
通常通り be 動詞を使うべきである。

(2)使役動詞の have と get
人や物が何かをする原因を作る使役動詞として have や get を使うことがあるが、言い換えた方がよい。
have は「have + 過去分詞」、「have + 動詞原形」、get は「get + 過去分詞」、「get + 不定詞」という形で使われる。
以下は Style Guide の例である。

・Have + 動詞原形

 × Have the sponser send a copy of the document to each member of the Project Team.
 ○ Ask the sponser to send a copy of the document to each member of the Project Team.
(参考訳:プロジェクト チームの各メンバーにドキュメントのコピーを 1 部送るよう、スポンサーに依頼してください。)

後者の方が動作の中身が明瞭である。

・Get + 過去分詞

 × In order to get these statistics printed in the log, the PRINTALL option must be in effect.
 ○ In order to print these statistics in the log, you must specify the PRINTALL option.
(参考訳:ログにある統計を印刷するには、PRINTALL オプションを指定しなければなりません。)


(3)理由を説明する in that
できるだけ because を使って理由を説明するようにする。

(4)Need not
「必ずしも必要でない」という意味で使う場合、「do not need to」を使う方が誤解がなくなる。

(5)倒置
英語では通常、動詞より主語が先に来るが、これが逆にする使い方を倒置と呼ぶ。
倒置することで、ある語を強調できるため、場合によっては有効であるが、可能であれば避けた方がよい。次は Style Guide の例である。

 × Only when stored in an integer variable is the value truncated.
 ○ The value is truncated only when it is stored in an integer variable.




・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.10」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
クチコミを見る

24 3月

Google Apps Marketplace で販売するには

3/9 に Google Apps Marketplace が公開されました。
Google の SaaS である Google Apps に追加できるアプリケーションを、第三者が開発して販売できるマーケットです。(ただ販売されているアプリケーションの数はまだ多いというわけではなく、420 ほどです。)

以下のような点が特徴です。
 ・ユーザーは Google Apps からシングル サインオンでアプリケーションを利用できる。
 ・Google Apps とのデータ連携が可能。
 ・Google Apps を導入している企業や学校は 200 万以上、ユーザーは 2,500 万人以上いる。
 ・提供者は Google App Engine を使う必要はない。自社サーバでも別のクラウド サービスでもよい。
 ・費用として 100 ドルの登録料(初回のみ)と売上の 20% が必要。

企業向けであるため比較的課金しやすいようです。さらに既存のアプリケーションを見るとユーザー 1 人あたりの月額料金で取るケースも多く、一般ユーザー向けが大部分の Android Market あたりよりも収益化が容易であるように思えます。

Google Apps Marketplace での販売方法の解説はこちらにあります(英語)。
英語を読むのが面倒な方に簡単に流れを説明すると次のようになります。

 1. 20% の費用がかかることを理解した上で、ベンダー登録する。
 2. 提供する Web アプリケーションに、OpenID ベースのシングル サインオン機能を追加する。
 3. Marketplace で製品リスティングを作成し、Google に申請する。このとき 100 ドルの初回登録料がかかる。
 4. Google が可と判定すると、Marketplace に公開される。

20% の費用がかかるのは、インストール可能な(installable)アプリケーションのみです。すなわち、Marketplace のアプリケーション ページに表示される「Add it now」というボタンを押して Google Apps にインストールされる場合です。インストール可能の指定をしないこともできますが、指定しないと Google Apps 上にリンクが統合されないようです。
ただし、現時点で Marketplace Billing API(課金 API)が未リリースのため、しばらく 20% の費用は発生しないとのことです。

上記の通り、技術的な面では OpenID が実装が必須です。そのシングル サインオン機能のドキュメントはこちらです。
23 3月

グローバル英語のスタイル(14):1 文が分断されないようにする

主語と動詞はできるだけ近くに置いた上で、1 文や 1 節(clause)が不必要に分断されないようにする。

ソフトウェアのドキュメントの場合、プログラム コード、エラー メッセージ、または図表で 1 文が分断されていることがある。Style Guide の例:

× To automatically define a libref each time SAS starts, add
   libname_saswa location-of-your-knowledge-base;
  to your autoexec.sas file.

○ To automatically define a libref each time SAS starts, add the following statement to your autexec.sas file:
   libname_saswa location-of-your-knowledge-base;

これは前回「グローバル英語のスタイル(13):リストの導入部分は完全な文にする」で取り上げたのと同様で、1 文が分断されてしまうと翻訳が難しかったり余計な労力がかかってしまったりという理由だろう。

また、however、therefore、nevertheless といった副詞も、文や節の途中に入ると読み手の思考を妨げてしまう。そもそもこういった単語は論理的な構造(逆接など)を表すので、文や節の頭に置くべきである。Style Guide の例は次の通りである。

× You can, however, use a RETAIN statement to assign an initial value to any of the previous items.
However, you can use a RETAIN statement to assign an initial value to any of the previous items.

前者のような文は小説やニュースでよく見るが、正確な意思の伝達を主目的とライティングでは、あまり推奨できないということなのだろう。
however など以外でも、文や節の頭に持っていった方がよい言葉として、「for example」、「if necessary」、「if required」が挙げられている。いずれも例示などの論理的な関係を構築する言葉である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.9」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
クチコミを見る

★6/22発売の翻訳書★
血と汗とピクセル 『血と汗とピクセル』
筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
Twitterアカウント
RSS フィード
著書
アプリ翻訳実践入門
『アプリ翻訳実践入門』


ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


英語語源が魔術に変わる世界では
『英語語源が魔術に変わる世界では』


現場で困らない! ITエンジニアのための英語リーディング
『IT英語リーディング』


アプリケーションをつくる英語
紙版
『アプリケーションをつくる英語』

電子版
『アプリケーションをつくる英語』
第4回ブクログ大賞受賞】