rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

19 3月

グローバル英語のスタイル(13):リストの導入部分は完全な文にする

リスト導入部分の文が不完全な場合、語順を入れ替えるなどの作業が発生するため翻訳者に負担がかかる。また、機械翻訳の精度も下がることがある。
少し分かりにくいと思うので、Style Guide の例で確認する。

 × In addition to invoking, managing, and scrolling windows, the windowing environment can
   ・customize windows
   ・manage libraries and files
   ・search text

 ○ In addition to invoking, managing, and scrolling windows, the windowing environment can be used as follows:
   ・to customize windows
   ・to manage libraries and files
   ・to search text

あまり違いがないように思えるが、前者ではリスト直前が「can」で終わっている。後者では「...can be used as follows:」とコロンで終わっている。
なぜ前者が推奨されないかと言うと、日本語に翻訳してみると分かる。

前者の参考訳:

ウィンドウの起動、管理、およびスクロールに加え、ウィンドウ環境は
 ・ウィンドウのカスタマイズ
 ・ライブラリおよびファイルの管理
 ・テキストの検索
ができる

後者の参考訳:

ウィンドウの起動、管理、およびスクロールに加え、ウィンドウ環境は次のことができる。
 ・ウィンドウのカスタマイズ
 ・ライブラリおよびファイルの管理
 ・テキストの検索

前者の場合、どうしても「ができる」をリストの最後に持ってこなければ、日本語として成り立たない。これは日本語特有の語順が原因である。
このように翻訳先の言語によっては処理が難しくなるため、リスト導入部分は 1 文としておくことが勧められている。

最もよく使われる方法は、「... as follows:」や「... the following items:」のように「follow とコロン」を組み合わせる手法である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.8」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
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18 3月

グローバル英語のスタイル(12):受動態は控えめにする

テクニカル ライティングでは通常、受動態は十分な理由がない限り使用しない方がよいとされている。グローバル英語の場合も同様で、以下の 3 つの理由により避けた方がよい。
  • 受動態をあまり使わない言語に翻訳する場合、翻訳者が能動態で訳文を構成する手間が生じる
  • 能動態の方がワード数が少なくなる傾向があるため、翻訳コストが削減できる
  • 一部の言語では、受動態は何種類にも訳し分けられる。そのため、複数の翻訳者が関係すると訳文の一貫性が損なわれる可能性がある
受動態を能動態にする例として、Style Guide では次の例を挙げている。
× Accessibility standards for electronic information technology were adopted by the U.S. government in 1973. (14 words)
○ The U.S. government adopted accessibility standards for electronic information technology in 1973. (12 words)
(参考訳:アメリカ政府は 1973 年に電子情報技術向けのアクセシビリティ標準を導入した。)

ただし、受動態が適切な場合もある。
(1)動作の主体が不明であったり重要でなかったりする場合
Style Guide では次の例を挙げる。
This output was created by appending HTML output to an existing HTML file.
(参考訳:この出力は、既存の HTML ファイルに HTML 出力を付加することで生成された。)
(2)能動態にすると同じ主語を何度も繰り返さなくてはならない場合
受動態を使うと読みやすくなることがある。

(3)動作を行う側ではなく、受ける側に焦点を当てる場合
同様に、受動態の方が便利である。

受動態はできれば避けた方がよいが、どうしても必要な場面や受動態が適切な場面では、使用しても問題はない。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.6」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
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18 3月

Google Apps Marketplace のアプリケーション ベスト 10

先日 Google Apps 用のアプリケーションを提供できる Google Apps Marketplace が始まった。その Marketplace で提供されているアプリケーションのベスト 10 を選んでいるニュース記事があった。

You Don't Know About These 10 Awesome Google Apps, But You Should
http://www.businessinsider.com/the-10-best-2010-3

ここに挙げられている 10 個を簡単に紹介する。
Socialwok
ビジネス用コラボレーション ソフト。無償

OffiSync
MS Office との連携。無償

Hosted BES for Google Apps
Blackberry との連携。有償

Intuit Online Payroll for Google Apps
給与支払いソフト。有償

Smartsheet Crowdsourcing for Google Apps
クラウドソーシング用ソフト。一部無償

Concur Breeze
経費報告用ソフト。有償(無償トライアルあり)

gTrax
従業員の時間管理ソフト。無償

MailChimp
ニュースレター管理ソフト。一定数まで無償

Zoho CRM
販売やマーケティング用の CRM 用ソフト。3 ユーザーまで無償

Gbridge
ファイル共有やチャット用の VPN ソフト。無償
印象的だったのは、有償ソフトの場合、比較的料金が高い点だ。1 ユーザーあたり毎月 8-12 ドル程度課金しているケースがいくつもある。やはりビジネス向けだからだろうか。

開発者がある程度収益をあげられるのであれば、Android あたりのアプリを開発するよりも成功の可能性は高いかもしれない。また、先日ブログに書いたように、Google Apps Marketplace の出現で小規模な開発会社や個人による「B2B アプリケーションのロングテール」が実現するだろう。

★6/22発売の翻訳書★
血と汗とピクセル 『血と汗とピクセル』
筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
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著書
アプリ翻訳実践入門
『アプリ翻訳実践入門』


ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


英語語源が魔術に変わる世界では
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現場で困らない! ITエンジニアのための英語リーディング
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電子版
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第4回ブクログ大賞受賞】