rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

14 3月

B2Bアプリケーションのロングテールが始まるか

数日前、Google が「Google Apps Marketplace」を始めるというニュースがあった。

Google は Google Apps というオフィス用製品(メールや表計算など)を SaaS という形態で提供している。 Marketplace は、この Google Apps 向けアプリケーションを販売できる流通プラットフォームである。
例えば、ある会社 A が Google Apps を社内で使っているとする。ソフト開発企業である B は Google Apps 向けアプリケーションを開発し、Marketplace 経由で A にアプリを販売できるようになるということである。

販売する側は、Google に初期費用 100 ドルに加え、売上の 20% を支払う。20% という金額は、Google Apps の持つ 200 万社、2,500 万ユーザーにリーチできると考えれば、それほど高いとも思えない(ちなみに iPhone や Android のアプリは 30% である)。

私がこのニュースを聞いてすぐ思ったのは、B2B アプリケーションのロングテールが可能になるということである。
Marketplace の出現により、(1)世界中に顧客を持てる、(2)サーバなどのインフラが不要、となるため、従来は特殊で採算が取れなかったようなケース(いわゆるロングテール)でも十分にビジネスが成立する可能性があるのではないかと思う。
例えば特定業界向けの CRM ソフトやドキュメント管理ソフトなどである。

この Google Apps Market もそうだが、モバイルの Android Market や iPhone App Store など、アプリケーションの世界的な流通プラットフォームが整いつつある
ソフトウェアを世界的に流通させることは、従来は巨大な資本を持つ大企業しかできなかった。アプリケーションの世界的な流通プラットフォームを活用することは、小規模なソフトウェア開発企業にとって大きなチャンスとなるはずだ。

参考
Marketplace に関する YouTube の動画 (英語ですが百聞は一見に如かずです)

12 3月

グローバル英語のスタイル(8):センテンスの長さに注意する

長いセンテンス(文)は短いセンテンスと比べると、あいまいさや複雑さが発生するため、読解や翻訳が難しくなる。
Style Guide では、手順(タスク)を表す文は 20 ワード以内、概念を説明する文は 25 ワード以内にするべきだと提案している。それを超えるセンテンスは、分割または構成を見直すようにする。

例として次を挙げている。
× If Chololate Bits is set to "No", indicating that there are no chololate bits in the sample batch of ice cream, then the selections for Enough Bits and Size of Bits are grayed to prevent users from entering irrelevant data (40 words)

○ If Chololate Bits is set to "No", then there are no chocolate bits in the sample batch of ice cream. Therefore, the selections for Enough Bits and Size of Bits are grayed to prevent users from entering irrelevant data (20 words + 19 words = 39 words)
のように、「therefore」といった言葉でセンテンス同士をつなぐことで分割できる。

代表的なつなぎ語としては、以下のようなものが挙げられる。
・順序: first、then(next、second)、finally(last)
・追加: furthermore、moreover、besides、also
・結果: therefore、thus、hence、as a result
・逆接: however、nevertheless、yet、on the contrary
・結論: in conclusion、in short、after all

ただし、どうしても長い文を分割できない場合は、文中の節を 1 つだけとする、節間の関係を論理的に構成する、といった対策を採る。これによって意味が明確になり、翻訳もしやすくする。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.1」の内容に該当する。


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11 3月

グローバル英語のスタイル(7):名詞の単数と複数を正しく使う

名詞を単数形とすべきときに複数形、複数形とすべきときに単数形を使うと、意味が不明瞭になることがある。
そのため、間違った理解や誤訳という結果を招いてしまう。

Style Guide では次の例を挙げている。
× All the data items shown in Figure 7 have a numeric value.
これは、items が複数であるのに value が単数形であるため、矛盾している。ただしすべての items が同一の value を持っている場合は間違いではないが、次の文の方が明瞭である。
○ All the data items shown in Figure 7 have the same numeric value.
すべての items が複数の value を持つ場合は、次の文が正確である。
○ All the data items shown in Figure 7 have numeric values.
また、それぞれの item がそれぞれ 1 つの value を持つ場合は、次の文が正確である
Each data item shown in Figure 7 has a numeric value.
名詞に単数形と複数形がない日本語を母語にする者にとって、判断は難しい。
しかし、「the same」や「each」といった、指示対象を明確化する言葉を補うことで、誤解のリスクを低減することは可能である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.9」の内容に該当する。


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西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
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