rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

8 3月

グローバル英語のスタイル(4):語句の組み合わせは標準的なものを使う

ネイティブ スピーカーの場合、ある単語と特定の単語とを強く結びつけて覚えている。
『Global English Style Guide』の例だと、correspond という単語は to や with と結びついている。associate の場合は with のみと結びついている。そのため、
× The user can associate metadata to any metadata resource in a repository.
○ The user can associate metadata with any metadata resource in a repository.
となる。

組み合わせが適切でない場合、(1)翻訳時に解釈に手間取る、(2)機械翻訳で間違いが発生する、(3)ドキュメント全体の一貫性が崩れるため翻訳メモリのマッチ率が下がる、といった弊害が発生する。

こういった組み合わせは辞書に記載されていることが多いが、実際の使用例を知りたい場合、Google や Bing で「"associate to"」と「"associate with"」を検索し、その数を比較してみることもよいだろう。ちなみに Google も Bing も " " で囲むと、それぞれの単語ではなく、ひとまとまりの句(フレーズ)として検索できる。
また、コーパス ツールで発生頻度を集計してみる方法もある。例えば英辞郎の「頻度集計機能」を使うと、どの単語の組み合わせが多いのかが手軽に分かる。(頻度集計機能はベータ版なので、非公開になる可能性がある)



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.6」の内容に該当する。


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6 3月

モノのロングテールが始まる

ダイヤモンド・オンラインにクリス・アンダーソンのインタビューが載っていた。

独占インタビュー!『FREE』著者のクリス・アンダーソンが語る「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」
http://diamond.jp/feature/dolweekly/10001/

タイトルの通り、ほとんどが『Free』に関する話題である。しかし、最後の方で次に発表する本について少し話している。
それほど長くないので引用してみる。
―あなたの次の本のテーマは「マイクロ製造」だと聞く。それが新産業の一つの例か。

そうだ。今やインターネットのおかげで、私のようにエンジニアではない人間でもラップトップ上でロボットを設計し、ごくわずかな単位でも中国の企業に製造を発注できる。どんな小さな企業も、街中のクリーニング店以上の存在になれる時代だ。世界にインパクトをもたらすことができる時代だ。実は私も最近、ロボット製造ベンチャーを起業した。

インターネットは企業という組織を離れて新しい共同作業を行う方法を与えてくれた。次は、その教訓を現実のモノの世界に応用することになるはずだ。要するに、アトム(物質)が次なるビット(情報)なのだ。つまり、PCの中でビットを扱うように、物理的なものを自在に組み合わせて何かを作ることができるということだ。

―あなたの関心は、既存産業の破壊にあるのか?

違う。“個”の台頭だ。『ロングテール』は小さな個別市場の台頭にスポットライトを当てた。『フリー』はプラットフォーム上での“生産”が無料になれば、人びとが金銭だけにとらわれず行動できるようになることを説いた。

そして次の本は、需要と製造の可能性はまだまだあるということについて書く。大企業で働かなくとも、いいアイデアと熱意、そして貢献できる“何か”を備えていれば、その個人の潜在能力は計り知れなく大きいことを示したい。
これは、アンダーソンが Wired の 2 月号に書いた記事と同じ内容だろう。
リンク先は英語である上に少々長いので、概要を知りたい方は私のブログに要約を載せてあるので読んでいただきたい。
また、アンダーソンが同じく Wired の Podcast で行なったインタビューもこちらで聴ける(ただし英語)。

簡単に言うと、(1)プロトタイプ ツールの低価格化(2)中国の工場へのネット経由による発注、という 2 点によって、資本の少ない個人がデザインから製造まで行なえるようになりつつあるということである。
これは、個人がブログや DTP で「出版業」ができるようになってビットのロングテールが実現したのに対し、モノのロングテールが始まることを意味する。
しかしそれによって製造業を行なっている大企業を打ち倒す、というわけでは必ずしもない。大企業が扱わないようなロングテールの部分を狙うということである。Wired の記事では、例えば「レゴ ブロックの兵隊の武器」という非常に狭くて大企業が進出しないような分野で商売している会社が紹介されている。

注意したいのは、製造業といっても個人が担うのはデザイン(設計)の部分であって、実際の製造は中国に委託するということである。これはアップルの製品に「Designed by Apple in California, Assembled in China」と書いてあるのと同じだ。
個人が担当し、かつ高い付加価値を与えられるのは、そういったデザインの部分(知識集約型)なのであり、実際に機械を使った製造という部分(資本集約型、労働集約型)ではない。

5 3月

グローバル英語のスタイル(3):他動詞を自動詞、自動詞を他動詞として使わない

「他動詞」とは、目的語を取る動詞である。「He played the piano.」では、動詞 played の後に目的語である the piano が来ている。
「自動詞」とは、目的語を取らない動詞である。「He slept well.」では、動詞の目的語はない。

同じ動詞でも、他動詞か自動詞かで意味が異なることがある。例えば run は自動詞として使うと「走る」だが、他動詞として使うと「経営する」という意味になる。

『Global English Style Guide』では他動詞を自動詞として使ってしまう例として、次を挙げている。
× If the wrong video driver has been installed, your program might display strangely.
○ If the wrong video driver has been installed, your program might be displayed strangely.
要するに、display は他動詞であり、自動詞として使えないということである。

このように、動詞を使う際は他動詞か自動詞かに注意して使う必要があるが、時代の変化とともに許容されつつある場合もある。Style Guide の例文を引用する。
○ The statement are executed immediately after the software has fully initialized.(自動詞的)
initialize は従来他動詞であったため「has been fully initialized」(初期化された)という用法が通常であった。しかし現在、ソフトウェア分野では自動詞としても使われている。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.5」の内容に該当する。


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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
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