rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

24 3月

Google Apps Marketplace で販売するには

3/9 に Google Apps Marketplace が公開されました。
Google の SaaS である Google Apps に追加できるアプリケーションを、第三者が開発して販売できるマーケットです。(ただ販売されているアプリケーションの数はまだ多いというわけではなく、420 ほどです。)

以下のような点が特徴です。
 ・ユーザーは Google Apps からシングル サインオンでアプリケーションを利用できる。
 ・Google Apps とのデータ連携が可能。
 ・Google Apps を導入している企業や学校は 200 万以上、ユーザーは 2,500 万人以上いる。
 ・提供者は Google App Engine を使う必要はない。自社サーバでも別のクラウド サービスでもよい。
 ・費用として 100 ドルの登録料(初回のみ)と売上の 20% が必要。

企業向けであるため比較的課金しやすいようです。さらに既存のアプリケーションを見るとユーザー 1 人あたりの月額料金で取るケースも多く、一般ユーザー向けが大部分の Android Market あたりよりも収益化が容易であるように思えます。

Google Apps Marketplace での販売方法の解説はこちらにあります(英語)。
英語を読むのが面倒な方に簡単に流れを説明すると次のようになります。

 1. 20% の費用がかかることを理解した上で、ベンダー登録する。
 2. 提供する Web アプリケーションに、OpenID ベースのシングル サインオン機能を追加する。
 3. Marketplace で製品リスティングを作成し、Google に申請する。このとき 100 ドルの初回登録料がかかる。
 4. Google が可と判定すると、Marketplace に公開される。

20% の費用がかかるのは、インストール可能な(installable)アプリケーションのみです。すなわち、Marketplace のアプリケーション ページに表示される「Add it now」というボタンを押して Google Apps にインストールされる場合です。インストール可能の指定をしないこともできますが、指定しないと Google Apps 上にリンクが統合されないようです。
ただし、現時点で Marketplace Billing API(課金 API)が未リリースのため、しばらく 20% の費用は発生しないとのことです。

上記の通り、技術的な面では OpenID が実装が必須です。そのシングル サインオン機能のドキュメントはこちらです。
23 3月

グローバル英語のスタイル(14):1 文が分断されないようにする

主語と動詞はできるだけ近くに置いた上で、1 文や 1 節(clause)が不必要に分断されないようにする。

ソフトウェアのドキュメントの場合、プログラム コード、エラー メッセージ、または図表で 1 文が分断されていることがある。Style Guide の例:

× To automatically define a libref each time SAS starts, add
   libname_saswa location-of-your-knowledge-base;
  to your autoexec.sas file.

○ To automatically define a libref each time SAS starts, add the following statement to your autexec.sas file:
   libname_saswa location-of-your-knowledge-base;

これは前回「グローバル英語のスタイル(13):リストの導入部分は完全な文にする」で取り上げたのと同様で、1 文が分断されてしまうと翻訳が難しかったり余計な労力がかかってしまったりという理由だろう。

また、however、therefore、nevertheless といった副詞も、文や節の途中に入ると読み手の思考を妨げてしまう。そもそもこういった単語は論理的な構造(逆接など)を表すので、文や節の頭に置くべきである。Style Guide の例は次の通りである。

× You can, however, use a RETAIN statement to assign an initial value to any of the previous items.
However, you can use a RETAIN statement to assign an initial value to any of the previous items.

前者のような文は小説やニュースでよく見るが、正確な意思の伝達を主目的とライティングでは、あまり推奨できないということなのだろう。
however など以外でも、文や節の頭に持っていった方がよい言葉として、「for example」、「if necessary」、「if required」が挙げられている。いずれも例示などの論理的な関係を構築する言葉である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.9」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
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19 3月

グローバル英語のスタイル(13):リストの導入部分は完全な文にする

リスト導入部分の文が不完全な場合、語順を入れ替えるなどの作業が発生するため翻訳者に負担がかかる。また、機械翻訳の精度も下がることがある。
少し分かりにくいと思うので、Style Guide の例で確認する。

 × In addition to invoking, managing, and scrolling windows, the windowing environment can
   ・customize windows
   ・manage libraries and files
   ・search text

 ○ In addition to invoking, managing, and scrolling windows, the windowing environment can be used as follows:
   ・to customize windows
   ・to manage libraries and files
   ・to search text

あまり違いがないように思えるが、前者ではリスト直前が「can」で終わっている。後者では「...can be used as follows:」とコロンで終わっている。
なぜ前者が推奨されないかと言うと、日本語に翻訳してみると分かる。

前者の参考訳:

ウィンドウの起動、管理、およびスクロールに加え、ウィンドウ環境は
 ・ウィンドウのカスタマイズ
 ・ライブラリおよびファイルの管理
 ・テキストの検索
ができる

後者の参考訳:

ウィンドウの起動、管理、およびスクロールに加え、ウィンドウ環境は次のことができる。
 ・ウィンドウのカスタマイズ
 ・ライブラリおよびファイルの管理
 ・テキストの検索

前者の場合、どうしても「ができる」をリストの最後に持ってこなければ、日本語として成り立たない。これは日本語特有の語順が原因である。
このように翻訳先の言語によっては処理が難しくなるため、リスト導入部分は 1 文としておくことが勧められている。

最もよく使われる方法は、「... as follows:」や「... the following items:」のように「follow とコロン」を組み合わせる手法である。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「3.8」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
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