rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

9 3月

グローバル英語のスタイル(5):標準的でない比較級と最上級は使わない

比較級 -er と最上級 -est が使える場合に、more と most は使わないようにする。
Style Guide では次のような例を挙げている。
× Can particles that are tens of thousands of times more narrow than a human hair penetrate human skin?
○ Can particles that are tens of thousands of times narrower than a human hair penetrate human skin?
同様に、more と most が適切な場合がある。同書の例を以下に挙げる。
× Gene-chip technology can detect one of the commonest genetic mutations with 100% accuracy.
○ Gene-chip technology can detect one of the most common genetic mutations with 100% accuracy.
どちらが標準的かは通常は辞書に記載されているが、ない場合は Web 上で検索すると判断できることが多い。
Google や Bing のフレーズ検索(" " で囲む)を行なってヒット数を比較するとよい。例えば最初の narrow の場合、Bing で「"times more narrow than"」で検索すると約 46 件、「"times narrower than"」で検索すると約 264 万件ヒットする。そのため、通常は「narrower」の形が使われていることが分かる。
ただし Web 検索では非ネイティブの英語が混じっているので注意が必要である。Google も Bing も「site:」を付けてドメイン検索にして範囲を限定した方がよいだろう。例えばイギリスに限定する場合は「site: uk」を付けたり、アメリカの大学に限定する場合は「site: edu」を付けたりして検索対象のドメインを指定する。具体的には「"times narrower than" site:uk」などと検索する。
Google の検索はたまにヒット件数の表示がおかしいことがあるので注意が必要だ。何ページかめくっていると、突然ヒット件数が大幅に変わることがある。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.7」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
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8 3月

グローバル英語のスタイル(4):語句の組み合わせは標準的なものを使う

ネイティブ スピーカーの場合、ある単語と特定の単語とを強く結びつけて覚えている。
『Global English Style Guide』の例だと、correspond という単語は to や with と結びついている。associate の場合は with のみと結びついている。そのため、
× The user can associate metadata to any metadata resource in a repository.
○ The user can associate metadata with any metadata resource in a repository.
となる。

組み合わせが適切でない場合、(1)翻訳時に解釈に手間取る、(2)機械翻訳で間違いが発生する、(3)ドキュメント全体の一貫性が崩れるため翻訳メモリのマッチ率が下がる、といった弊害が発生する。

こういった組み合わせは辞書に記載されていることが多いが、実際の使用例を知りたい場合、Google や Bing で「"associate to"」と「"associate with"」を検索し、その数を比較してみることもよいだろう。ちなみに Google も Bing も " " で囲むと、それぞれの単語ではなく、ひとまとまりの句(フレーズ)として検索できる。
また、コーパス ツールで発生頻度を集計してみる方法もある。例えば英辞郎の「頻度集計機能」を使うと、どの単語の組み合わせが多いのかが手軽に分かる。(頻度集計機能はベータ版なので、非公開になる可能性がある)



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.6」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
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発売日:2007-10-26
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6 3月

モノのロングテールが始まる

ダイヤモンド・オンラインにクリス・アンダーソンのインタビューが載っていた。

独占インタビュー!『FREE』著者のクリス・アンダーソンが語る「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」
http://diamond.jp/feature/dolweekly/10001/

タイトルの通り、ほとんどが『Free』に関する話題である。しかし、最後の方で次に発表する本について少し話している。
それほど長くないので引用してみる。
―あなたの次の本のテーマは「マイクロ製造」だと聞く。それが新産業の一つの例か。

そうだ。今やインターネットのおかげで、私のようにエンジニアではない人間でもラップトップ上でロボットを設計し、ごくわずかな単位でも中国の企業に製造を発注できる。どんな小さな企業も、街中のクリーニング店以上の存在になれる時代だ。世界にインパクトをもたらすことができる時代だ。実は私も最近、ロボット製造ベンチャーを起業した。

インターネットは企業という組織を離れて新しい共同作業を行う方法を与えてくれた。次は、その教訓を現実のモノの世界に応用することになるはずだ。要するに、アトム(物質)が次なるビット(情報)なのだ。つまり、PCの中でビットを扱うように、物理的なものを自在に組み合わせて何かを作ることができるということだ。

―あなたの関心は、既存産業の破壊にあるのか?

違う。“個”の台頭だ。『ロングテール』は小さな個別市場の台頭にスポットライトを当てた。『フリー』はプラットフォーム上での“生産”が無料になれば、人びとが金銭だけにとらわれず行動できるようになることを説いた。

そして次の本は、需要と製造の可能性はまだまだあるということについて書く。大企業で働かなくとも、いいアイデアと熱意、そして貢献できる“何か”を備えていれば、その個人の潜在能力は計り知れなく大きいことを示したい。
これは、アンダーソンが Wired の 2 月号に書いた記事と同じ内容だろう。
リンク先は英語である上に少々長いので、概要を知りたい方は私のブログに要約を載せてあるので読んでいただきたい。
また、アンダーソンが同じく Wired の Podcast で行なったインタビューもこちらで聴ける(ただし英語)。

簡単に言うと、(1)プロトタイプ ツールの低価格化(2)中国の工場へのネット経由による発注、という 2 点によって、資本の少ない個人がデザインから製造まで行なえるようになりつつあるということである。
これは、個人がブログや DTP で「出版業」ができるようになってビットのロングテールが実現したのに対し、モノのロングテールが始まることを意味する。
しかしそれによって製造業を行なっている大企業を打ち倒す、というわけでは必ずしもない。大企業が扱わないようなロングテールの部分を狙うということである。Wired の記事では、例えば「レゴ ブロックの兵隊の武器」という非常に狭くて大企業が進出しないような分野で商売している会社が紹介されている。

注意したいのは、製造業といっても個人が担うのはデザイン(設計)の部分であって、実際の製造は中国に委託するということである。これはアップルの製品に「Designed by Apple in California, Assembled in China」と書いてあるのと同じだ。
個人が担当し、かつ高い付加価値を与えられるのは、そういったデザインの部分(知識集約型)なのであり、実際に機械を使った製造という部分(資本集約型、労働集約型)ではない。

著書
アプリ翻訳実践入門
『アプリ翻訳実践入門』


ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


英語語源が魔術に変わる世界では
『英語語源が魔術に変わる世界では』


現場で困らない! ITエンジニアのための英語リーディング
『IT英語リーディング』


アプリケーションをつくる英語
紙版
『アプリケーションをつくる英語』

電子版
『アプリケーションをつくる英語』
第4回ブクログ大賞受賞】