rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

3 3月

グローバル英語のスタイル(1):名詞は名詞、動詞は動詞のように本来の品詞の意味で使う

ある単語を使う場合、標準的な辞書に書いてある品詞を使うこと。

Style Guide では次の例を挙げている。
In order to action this report, you must respond by selecting...
この場合の「action」は動詞として用いられている。action は本来名詞であるため、英語から別の言語に翻訳する場合、翻訳者が新しい訳語を考案して当てなければならない。そのため翻訳に余計な時間がかかる可能性がある。また、非ネイティブであれば辞書に書いてない品詞なので解釈できないことも考えられる。
上記の英文を(例えば)日本語に翻訳する場合、恐らく「このレポートを出させる」や「このレポートの処理結果を見る」のようになるだろう。この場合、「出させる」や「処理結果を見る」のように読む側で何らかの言葉を補う必要があるということである。

また Style Guide では別の例も挙げられている。
× This section explains how to change the text of items in the pop-up.
○ This section explains how to change the text of items in the pop-up menu.
×では、形容詞が動詞として使われている。「pop-up」は通常は形容詞であるため、特に名詞に性別がある言語(フランス語やドイツ語など)に訳す場合、翻訳者が隠れている名詞を探し出して性別に合致した定冠詞を付けなければならない。そういった労力を減らすために、○の例のようにあらかじめ適切な名詞「menu」を追加しておくことが求められる。
日本語の場合「ポップアップ」が名詞となっているため英文を書いたときに気づかないが、それが名詞として使われてない言語もあるということである。

私が翻訳していると、たまに「installable」という単語が名詞として使われている例に遭遇することがある。形容詞は「インストール可能」だが、名詞として訳す場合は内容に応じて「インストール可能ファイル」のようになる。このように、日本語でも何らかの名詞を補う必要があるケースも存在する。
ちなみに同じく -able の形である「deliverable」(成果物、納品物)は辞書でも名詞になっているため、そのまま使っても問題ないだろう。


注:
・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.2」の内容に該当する。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
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3 3月

グローバル英語のスタイル(0):はじめに

iPhone の App Store、Android の Android Market といったアプリケーションの世界的な流通プラットフォームが出現している現在、巨大な企業のみならず、小規模企業や個人でもアプリケーションを世界に配布できるようになった。
しかし、世界の人に販売するには言語の壁を乗り越えなければならない。その中でも英語は、公用語としている人口が世界最多である上に、外国語として学習している人も多い。そのため、まずは英語版を作成することの優先順位が高くなる。
英語版を作るには当然英語ができなければならない。しかし必要となるのは主にライティングの力である。話したり聴いたりできれば有利であることは間違いないが、ライティングの力を重点的に高めることで比較的短期間のうちに世界のマーケットに進出できるようになるだろう。

本ブログでは、グローバルな場面で通用する英語の書き方について、定評あるスタイル ガイドを参考にして取り上げていきたい。
参考にするのは、John Kohl 著の『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』(以下、Style Guide)である。これは主にテクニカル ライターに向けで、英語を母国語としない読者にとって読みやすく翻訳しやすい英語を書くためのスタイル ガイドである。ただし、Style Guide は基本的に英語ネイティブのライター向けであるため、ある程度の英語が書けることが前提となっている。
この Style Guide の項目の中から重要だと思われるものを選択し、内容を簡単に紹介しつつ、私自身の解説を加える。
(選択の基準を厳密に定めているわけではないが、Style Guide の各項目に「Priority」が付けられている場合、概ね「medium」以上のものを選ぶことにする。)

上記の通り、英語のライティングといっても、明瞭な意思伝達を主目的としたテクニカル ライティング的な側面が強い。一部のマーケティング文書のように、言語そのものの美しさが重視される(要するに詩的あるいは文学的な)ライティングは対象外となっているため、ご注意いただきたい。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
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25 2月

意外と同情を集めているトヨタ社長の涙

ここしばらくの間、アメリカのニュースのトップはハイチかオリンピックかトヨタでした。いよいよトヨタの社長が下院公聴会に呼ばれ、一体どうなることかと思っていました。
議会での証言後に地元ディーラーとの会合に出席して、涙を流したそうです。

Toyoda's tears
http://www.youtube.com/watch?v=OItBnWHjlFM
ロイターのビデオ(YouTube)

マスメディアのニュースばかり見ていると気がつきませんが、意外にトヨタ擁護の声はネット上に多いようですね。このロイターのコメントを見ると、トヨタ批判はそれほどなく、比較的好意的なものばかりです。
流暢な英語でスピーチして冷静な顔をしているより、巨大企業トップの人間的な側面の方が同情を引くのでしょうか。

また、CNN のコメントを見ても、トヨタを買い続けるというコメントが多いです。
むしろフォードや GM に対する批判が多い。

Analysis: How did Toyoda do?
http://www.cnn.com/2010/BUSINESS/02/25/toyota.congress.react/index.html

Toyoda in Washington: A clash of cultures?
http://www.cnn.com/2010/BUSINESS/02/24/money.toyoda.culture.clash/index.html

少なくともこういったコメントを見ると、トヨタに対する信頼は崩れていないようです。
選挙を控えている下院議員の「政治的パフォーマンス」みたいに捉えている人も多いんでしょうね。
★6/22発売の翻訳書★
血と汗とピクセル 『血と汗とピクセル』
筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
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アプリ翻訳実践入門
『アプリ翻訳実践入門』


ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


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