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IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

17 12月

JTFほんやく検定合格でトライアル免除/受験要件緩和

日本翻訳連盟(JTF)は「ほんやく検定」を主催しています。

これまでも2級以上に合格するとJTFの「検定合格者リスト」(JTF会員のみ閲覧可)に掲載され、プロとして仕事を受けるチャンスがありました。しかし合格者(翻訳者)の側から翻訳会社にアプローチする機会は限られていました。

そこで、ほんやく検定2級以上の合格者に対してトライアル免除またはトライアル受験要件緩和という優遇措置を実施している翻訳会社をまとめて掲載することになりました。これにより、合格者の側から翻訳会社を探して翻訳者登録をしたりトライアルを受験したりできます。

本日現在、翻訳会社20社がこの優遇措置を実施しています。
たとえば、1級合格で「トライアル免除」、2級合格で「実務経験なしでトライアル受験可能」といった内容です。

実施会社や要件などの詳細情報は、以下「JTFほんやく検定」のページにある「合格者の特典」セクションの「●トライアル優遇措置対象翻訳会社リスト」をご覧ください。
https://kentei.jtf.jp/

あるいは、こちらから直接PDFを開くことも可能です。
https://www.jtf.jp/pdf/kentei_trial.pdf

jtf-kentei-traial

フリーランス翻訳者になるためにはトライアル合格が必須です。しかしそもそもトライアル受験に実務経験を求められるケースもあります。(そのため最近、実務経験を「盛る」トライアル受験者が出ているとの話も聞きます。)
上記の制度を利用すれば、実務経験がなかったり浅かったりしても、トライアル受験が可能になります。しかも一度検定に合格するだけで何社にもアプローチ可能なので、効率的です。

フリーランス翻訳者を目指している方は、ぜひこちらの制度を活用してみてください。

※ なお次の第72回ほんやく検定は2020年1月25日(土)実施で、申込み期限は2020年1月14日(火)17:30までです。
22 10月

名詞としての-able

IT関連のドキュメントを読んでいると、語の最後が「-able」で終わる名詞をよく見かける。これはもともと形容詞だったものが名詞化されたものだと思われる。

たとえば、プログラミングの基本用語である「variable」、つまり「変数」だ。これは語源も判明しているようで、1816年に形容詞から作られたらしい(参考URL)。最初は数学用語である。

ほかに一般辞書に載っている語としては「deliverable」がある(OALD)。「納品物」や「成果物」といった意味になる。これも形容詞からできたのではと思われる。またdeliverableを名詞で使う際は、deliverablesと複数形にすることが一般的なので注意が必要だ。

executable」も名詞として辞書に載っている(Collins)。「実行可能ファイル」という意味になる。

さらに「wearable」もOALDに掲載されている。こちらはITの文脈で言うと「着用デバイス」を指す。


こうして見ると、もともと「-able+名詞」(たとえばexecutable file)だったのに、名詞部分が抜け、「-able」だけが残って名詞化されたのではないかと想像してしまう。
そのため「-able」という名詞を日本語にする際は「納品」、「実行可能ファイル」、「着用デバイス」と、名詞を補う必要がある。


プログラミング関連資料を見てみると、辞書には載っていないものの、名詞扱いされる「-able」が数多くある。少し探しただけでも以下の語が見つかった。

・callable
・clickable
・consumable
・commitable
・drawable
・enumerable
・immutable
・initializable
・iterable
・playable
・returnable
・runnable
・scrollable
・throwable

たとえば「commitable」は「コミット可能ファイル」、「iterable」は「イテレーション可能オブジェクト」といった意味になりそうだ。いずれの場合も日本語では「ファイル」や「オブジェクト」などと適切に補って名詞であると明示しなければならない。
品詞を転換して作られる「-able名詞」の造語力は非常に高い。今後もどんどん作られるだろうから、読む側は「-able」は形容詞だけでなく、名詞の可能性もあると考えておく必要がありそうだ。


4 10月

翻訳品質を扱うISO 21999がキャンセル

ISOのウェブサイト(こちら)で公式発表されているが、10/3付で翻訳品質を扱うISO 21999はキャンセル(Deleted)になった。

規格の対象範囲(scope)をどこまで広げるかに関し、参加者間で意見が合わなかったのが原因である。リーダーらは「品質保証」まで扱うべきだと主張していたが、大半の国は「評価」に留めるべきだと考えていた。投票で「評価まで」と決まったのにもかかわらず、リーダーらが固執し、結局キャンセルになってしまった。
(確か2012〜2013年頃にも、ISO 17100を策定する過程で翻訳品質を扱う国際規格の話が持ち上がったものの、消えてしまったと聞く。)

ただし、翻訳品質評価自体の重要性は理解されているので、ISOで近々別のプロジェクトが立ち上がるかもしれない。



ISO以外でも、翻訳品質を扱う国際規格はASTMが現在制作している。

 ・ASTM WK46396: New Practice for Analytic Evaluation of Translation Quality
 ・ASTM WK54884: New Practice for Holistic Quality Evaluation System for Translation

また国際規格ではないが「MQM」が2015年に完成している。
MQMは欧州委員会の翻訳品質評価にも使われているようであるし、学術論文でもMQMを使って品質評価する例を見かける。
さらにMQMの制作者がASTMにも関わっており、今後MQMの方法が国際的に受け入れられる可能性は高い。ISOで別プロジェクトが立ち上がる場合も、MQMから大きな影響を受けると思われる。

なお、日本翻訳連盟(JTF)で昨年作った「JTF翻訳品質評価ガイドライン」もMQMをベースとし、これとの互換性を維持している。
そのため日本語が関わる翻訳で品質評価する場合は、JTFのガイドラインを参考にしておけば将来的に「ガラバゴス化」する危険性は小さいのではないかと思う。
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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについてはこちらをご覧ください。
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