IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

例文詳解 技術英語の冠詞活用入門例文詳解 技術英語の冠詞活用入門
著者:原田 豊太郎
販売元:日刊工業新聞社
(2000-06)
販売元:Amazon.co.jp
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冠詞(a や the)は、ある程度英語を学習した日本人が英文を書く際に、恐らく最も悩む事項なのではないかと思います。
単語や表現は辞書を使えばある程度は調べられますが、冠詞は文中における文脈で決まるため、辞書を見ただけでは本当に正しいのかどうか分かりません。「特定できる名詞には the」という基本的なルールは初学者でも知っていますが、それでも悩むのが冠詞です。

本書は特に科学技術分野の英文における冠詞について使い方を解説しています。
まず規則的な用法について 4 つの規則を取り上げ、その後で不規則な用法などを説明しています。

規則的な用法として、以下の 4 つを挙げています。

規則 1:
情報を送る側と受け取る側の双方にとって不特定・非限定な場合、
 ・可算名詞の単数形には、a
 ・可算名詞の複数形には、付けない
 ・不可算名詞には、付けない

規則 2:
情報を送る側にとっては特定・限定であるが、受け取る側にとっては不特定・非限定な場合、
 ・可算名詞の単数形には、a
 ・可算名詞の複数形には、付けない
 ・不可算名詞には、付けない

規則 3:
情報を送る側と受け取る側の双方にとって特定・限定の場合、
 ・可算名詞の単数形には、the
 ・可算名詞の複数形には、the
 ・不可算名詞には、the

規則 4:
情報を送る側と受け取る側の双方にとって一般的概念(総称表現など)の場合、
 ・可算名詞の単数形には、a または the
 ・可算名詞の複数形には、付けない
 ・不可算名詞には、付けない

このうち、日本人にとって最も難しいのが「規則 2」で、「規則 3」と混同してしまうと言います。
規則 2 では、情報を送る側では特定できているものの、受け取る側では特定できていない状態です。いくら送り手が特定できていたとしても、受け取る側が特定できていない場合、the は付かないということです。送る側と受け取る側の双方が名詞を特定できて初めて、the を付けられるのです。

また「規則 3」における「特定・限定」の方法についてです。本書では重要なものとして次の 3 つを挙げています。
(1)すでに出た名詞に 2 回目から the を付けて両者が同じ名詞であることを示すことにより特定する。
   → 既出の名詞に付ける the です。
(2)文脈(それまでに与えられた情報)により特定したり、限定する。
   → 例えば、同じ場所にある図面で指示されている名詞です。
(3)さまざまな修飾語句で特定する仕方であるが、非常にバラエティーに富んでいる。
   → 例えば、形容詞の最上級や of による修飾で名詞が特定できる場合です。


上記は「規則的な用法」に関するものです。不規則な用法や特殊な用法などについては、本書で確認してみてください。
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東北での被害とは比べるべくもありませんが、3/11の地震で自宅(横浜)のマンションにも少し被害が出ました。
以下、その状況などについてです。

◆ 地震時の状況

自宅のパソコンで仕事をしていると揺れが始まりました。開いているファイルを急いで保存した直後、急に揺れが大きくなり、ぐわんぐわんという感じで揺さぶられました。
下の写真の左端に写っているメタルラック上にパソコンが設置してあったため、これが倒れたらまずいと思って左手で抑えました。ラック上からは本などがバラバラと落ちていきます。
同時に、デスク上に置いてある 24 インチのディスプレイ 2 枚も倒れそうでした。画面を下にして倒れると故障するかもしれないので、左手でラックを抑えつつ、右手でディスプレイを逆さに倒しました。

地震後の状況はこんな具合です。
110320_1

デスク上のディスプレイは横倒しで、灰色のパーティションも倒れてきています。電話台も壁沿いから動いてしまい、左端に写っているメタルラックからは物が落ちました。

メタルラックから落ちた物はこんな感じで床に散乱しました。足の踏み場もありません。
110320_2


実は部屋の奥にもう一つメタルラックがあって、そこには本がぎっしり入っていました。地震の最中、何とこのラックは揺れに合わせて少しずつ少しずつ移動しました。
ディスプレイと手前のメタルラックを抑えるのが精いっぱいで、奥のメタルラックは動くに任せるという状況でした。本が満載なのでこっちに倒れてきたらひとたまりもありません。地震の間はこれが一番怖かったです。

結局、奥のメタルラックは倒れなかったものの、あとで天井の傷を測ったら 80 センチくらい動いていました。
110320_3


地震後、部屋から台所に出ようとしました。しかし、クローゼット内で物が落ち、クローゼットの扉を押しあけ、廊下にまで飛び出していました。それが邪魔して台所へのドアが開きません。ドアの隙間から少しずつ物をどかしてドアを開き、何とか台所に出ました。
台所でもやはり皿やらグラスやらが落ちて割れていました。

洗面所はこんな具合です。
110320_4

棚から落ちてきた物が洗面台に入っていたり、ワイヤーの棚が崩壊して洗剤のボトル何かが散らばったりしています。

結局、私の住んでいる地域は震度 5 強だったようです。ところがマンションがやや高い階にあるため揺れが大きくなり、この程度の被害になったのではないかと感じます。


◆ 対策の結果など

地震については多少の対策をしていました。その結果について簡単に検証しようと思います。

・メタルラックの突っ張り棒
メタルラックは天井まで届くくらいの高さだったので、倒れてこないように突っ張り棒を付けていました。これは非常に役立ったようです。確かに天井に傷が付いてしまいましたが、倒れてくるラックに押しつぶされるよりはマシでしょう。

・テレビやパソコンは紐で固定
パソコンはメタルラック上で紐で固定していました。このおかげで、ラック上の他の物は落下したのに、パソコンは無事でした。また、40 インチのテレビも背面を紐で固定してありました。これも奏功して落下や転倒を免れました。


◆ 想定外に困った事柄

今回の地震では、全く想像していなかったことが家の中で起こりました。

・クローゼットや棚から物が飛び出す
地震だと、クローゼットや棚の「中」でも物が崩落します。その結果、クローゼットや棚の「外」にまで飛び出します。

・ドアが開かない
廊下にあるクローゼットや棚から物が落ちると、それが邪魔をしてドアが開かなくなります。今回は地震が昼間であり、停電もなかったので状況の確認ができましたが、夜間で停電が発生するとかなり慌てるのではないかと思います。もし火災が発生したら逃げられません。

・必要な道具までたどり着けない
扉が開かない結果、せっかく玄関先に置いておいた非常持ち出し袋まで簡単にたどり着けませんでした。また、ベランダから逃げようにも、靴の置いてある玄関まで行けません。

・ディスプレイが倒れやすい
今回分かったのは、パソコンの液晶ディスプレイは倒れやすいということです。特に海外製のディスプレイは地震など想定していないのか、転倒防止の紐をかける場所もありません。仕方ないので、少なくともデスク上からの落下は防ごうと、私は足の部分を紐でデスクに縛り付けました。


◆ 今後しておきたいこと

上記のように、想定外の困った事象が発生したので、対策を修正しました。

・ベランダに靴
玄関までたどり着けない場合、間近の出口から逃げる必要があります。そのため、普段使っていない靴をベランダに非常用として置いておくことにしました。

・寝室に懐中電灯
ライトが必要なのは夜間です。夜間に人は大抵寝ています。今まで懐中電灯は棚の中に置いてあったのですが、ベッドの隅に配置するようにしました。

・クローゼットや棚の中の物を固定
これはまだやっていないのですが、クローゼットや棚の中の物もできるだけ固定したいと思っています。あるいは少なくとも扉の外に飛び出してこないように、扉の取っ手を縛っておくことも検討しています。

・常にスリッパ
スリッパをはいていたおかげで、台所で割れた皿やグラスを踏んでも怪我をしませんでした。靴下だけだったら足を切っていたかもしれません。地震時には家の中でも足を怪我する危険があります。スリッパは常に履いているか、身近に置いておくことが望ましいのではないかと感じました。


これらは私個人の経験に基づくものです。住んでいる家によって発生し得る状況は異なるかと思います。
準備していたと思っていても、「想定外」の事象が起こる可能性はあるので、皆さんもご注意ください。
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2013-01-15:情報が一部古いのでご注意ください。

2011/9/25 更新: 実績データに基づき、一部のデフォルト値などを変更しました。変更後または追加の情報は黄色でハイライトしてあります。
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Android アプリで広告収入を得たいと考える開発者や企業は多いかと思いますが、どのくらいのダウンロード数やクリック単価があればいくらくらいの収入になるのか、全く見当がつかないことが多いでしょう。
また、実際にアプリに広告を載せている開発者でも、例えば広告更新頻度を 2 倍にしたときにどのくらい収入が変わるのか、あるいは「○○円売り上げるにはどのくらいダウンロード数が必要か」などを確認したいことがあります。

そこでアプリの広告収入シミュレータを作ってみました。
ダウンロード数やクリック単価など、合計 9 つのパラメータを入力すると、「月間収入予測」が表示されます。

パラメータにどの程度の数字が入るのか分からないと思う人も多いと思うので、各パラメータにいくつかシナリオを用意してあります。高位シナリオ〜低位シナリオ、あるいは楽観シナリオ〜悲観シナリオです。デフォルトでは中間の数字が入っています。すでに自分のアプリでデータがある方はそれを入力してください。
シナリオの数字の範囲は私の Android アプリの実績を基に予測しました。しかしデータがそれほど多いわけではないので、実際にアプリを出している方は「自分のと違う」と感じるケースもあると思います。

■ 使い方

【1】〜【9】にある各フィールドに数字(半角)を入力し、最後に「計算」ボタンを押してください。「月間収入予測」と、それを導くまでの計算結果が表示されます。
数字がよく分からないフィールドについては、とりあえずデフォルトの数字(中間シナリオ)のままで試してみてください。


【1】 ダウンロード数

アプリのダウンロード総数。他人のアプリであっても、Android Market などでおおよその数字は確認できる。外部から見た場合、これしか客観的な数字が分からないため注目される。しかし後述するが、必ずしも「ダウンロード数=広告収入」ではない。

・1,000,000 → 個人や中小企業が到達するのはなかなか厳しいか
・250,000 → Android Market の上位約 1 % 以内
・50,000 → Android Market の上位約 3.5 % 3.1% 以内
・10,000 → Android Market の上位約 11 % 8.8% 以内
・5,000 → Android Market の上位約 16 % 12.8% 以内
(Androlib の統計情報: http://www.androlib.com/appstatsdownloads.aspx


【2】 アクティブインストール率

インストールしたユーザーがどのくらい手元に残しておくか。単純にアンインストールしていない割合。良いアプリなら高くなる。Android Market の開発者コンソールで確認が可能。

%

・80 % → ダウンロードした人はほとんどアンインストールしない
・60 %
・40 % → ダウンロードした人の半分ちょっとがアンインストールする
・20 %
・10 %


【3】 アクティブユーザー率

当月に少なくとも 1 回はアプリを使っているユーザーの割合。使わないのにインストールしたままのユーザーを除外する。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

%

・80 %
・60 %
・40 %
・20 %
・10 %


【4】 1日あたりの平均利用率

アクティブなユーザーが 1 日 1 回アプリを起動する場合に 100% と考える。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

%

・500 % → 1 日 5 回。例えば、毎日 5 回は見る SNS ブラウザ
・100 % → 1 日 に 1 回。例えば、毎日 1 回は見る天気予報アプリ
・33 % → 3 日に 1 回。例えば、3 日に 1 回記録する体重計アプリ
・15 % → 週に 1 回。例えば、たまに起動する時刻表検索アプリ
・3 % → 月に 1 回。例えば、一度設定したらあまり起動しないツール


【5】 1利用あたりのリクエスト回数

1 回アプリを起動したときに発生する広告リクエストの合計数。ゲームのように滞留時間が長く、かつ一定時間置きに自動更新すると増える。複数の画面で広告を出すならば、当然多くなる。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

・30 回
・15 回
・7 回 → 例えば 1 画面のアプリでユーザーは平均 3.5 分間使う。30 秒ごとに広告更新すると計 7 回リクエストされる。
・3 回
・1 回 → アプリを起動すれば 1 回はリクエストされるはず


【6】 広告表示率

アドネットワークの在庫や、得意とする地域によって異なる。アドネットワークの選択や組み合わせで変わる。利用しているアドネットワークでデータを確認可能。
例えば AdMob は北アメリカやヨーロッパではそこそこの表示率を確保できるが、アジアでは低いといった特徴がある(参考記事1参考記事2参考記事3)。

%

・90 %
60 % 70 %
40 % 50 %
10 % 30 %
5 % 10 %

ユーザーがほとんど国内で、かつ国内表示率 100 % のアドネットワークを使う場合、100% 近い数字が出ます。また、大手 AdMob の地域毎の表示率の実績を私のブログで公開しているので、そちらも参考にしてください。例えば 2011 年 8 月分です。


【7】 クリック率

広告内容とユーザーの関心がうまくマッチすれば高くなるか。広告を画面のどこに配置するかも重要になる。アドネットワークでデータ確認可能。

%

・3 %
1 % 1.3 %
0.5 % 0.7 %
0.2 % 0.4 %
0.05 % 0.1 %

私の実績だと、国内ユーザーのクリック率は比較的高いです。ユーザーがメインが国内であれば、クリック率は 1% 以上の高い数字を設定しても問題ないかと思います。欧米ユーザーはその半分ほどです。


【8】 クリック単価

1 クリックあたり単価。個人や小規模企業が一般的に契約するアドネットワークでは 1 〜 9 円程度が相場か。国内は比較的高い単価を期待できる。海外のネットワークは為替相場も影響。アドネットワークでデータ確認可能。

・9 円
・7 円
4 円 5.5 円
2 円 3 円
・1 円

やはり日本国内は高く、国内ユーザーメインであれば、7 円以上は期待できます。海外でも上昇傾向なので、平均的に高く修正しました。


【9】 日数

1 か月の日数。例えば 10 日間分だけ計算したい場合は数値を指定する。



月間収入予測  

中間結果

アクティブインストール数   =【1】ダウンロード数 × 【2】アクティブインストール率
アクティブユーザー数   =アクティブインストール数 × 【3】アクティブユーザー率
1日あたりの利用ユーザー数   =アクティブユーザー数 × 【4】1日あたりの平均利用率
1日あたりのリクエスト総数   =1日あたりの利用ユーザー数 × 【5】1利用あたりのリクエスト回数
1日あたりのインプレッション総数   =1日あたりのリクエスト総数 × 【6】広告表示率
1日あたりのクリック数   =1日あたりのインプレッション総数 × 【7】クリック率
1日あたりの収入   =1日あたりのクリック数 × 【8】クリック単価
月間リクエスト総数   =1日あたりのリクエスト総数 × 【9】日数
月間インプレッション総数   =1日あたりのインプレッション総数 × 【9】日数

■ 結論

広告収入は、掛け算で決まります。そのため、単に「ダウンロード数が多い」というだけでは広告収入は増えません。
頻繁に起動してもらえるアプリを作ったり、滞留時間を延ばしたり、広告を各画面に表示したり、ユーザー数の多い地域に強いアドネットワークを使ったりして工夫することで、広告収入は増えるはずです。


注:
「ここはおかしい!」という部分があったら、ぜひコメントをお願いします。
また、このシミュレータを使用したことによる結果には責任を持てませんので、参考までに使ってください。

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