rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

5 3月

グローバル英語のスタイル(3):他動詞を自動詞、自動詞を他動詞として使わない

「他動詞」とは、目的語を取る動詞である。「He played the piano.」では、動詞 played の後に目的語である the piano が来ている。
「自動詞」とは、目的語を取らない動詞である。「He slept well.」では、動詞の目的語はない。

同じ動詞でも、他動詞か自動詞かで意味が異なることがある。例えば run は自動詞として使うと「走る」だが、他動詞として使うと「経営する」という意味になる。

『Global English Style Guide』では他動詞を自動詞として使ってしまう例として、次を挙げている。
× If the wrong video driver has been installed, your program might display strangely.
○ If the wrong video driver has been installed, your program might be displayed strangely.
要するに、display は他動詞であり、自動詞として使えないということである。

このように、動詞を使う際は他動詞か自動詞かに注意して使う必要があるが、時代の変化とともに許容されつつある場合もある。Style Guide の例文を引用する。
○ The statement are executed immediately after the software has fully initialized.(自動詞的)
initialize は従来他動詞であったため「has been fully initialized」(初期化された)という用法が通常であった。しかし現在、ソフトウェア分野では自動詞としても使われている。



・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.5」の内容に該当する。


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4 3月

グローバル英語のスタイル(2):標準的な補語を使う

動詞には標準的に使われている「補語」があるため、それを使う。これに違反すると機械翻訳の精度が下がったり、人が適切に解釈できなかったりすることがある。

動詞の補語には通常、「不定詞」、「動名詞」、「名詞節」の 3 つがある。start や know を例にとって説明すると、
・不定詞:start to eat
・動名詞:start eating
・名詞節:know that it is true
という形になる。

Style Guide では recommend という動詞を例に挙げている。
× We recommend to use the Web version of the application.
○ We recommend that you use the Web version of the application.
recommend では that 名詞節を使うのが標準的で、to 不定詞は使わない。

また、どの形の補語を使うかで、意味が異なることがあるので注意する。
例えば stop の場合、
He stopped smoking.(彼は喫煙を止めた。)
He stopped to smoke.(彼は立ち止まってタバコを吸った。)
stop 以外にも次のような例がある。
・try to(〜しようとする)、try -ing(試しに〜する)
・forget to(〜するのを忘れる)、forget -ing(〜したのを思い出せない)
・remember to(忘れずに〜する)、remember -ing(〜したのを覚えている)

他にも、to しか取らない動詞(hope、want、plan など)や、-ing しか取らない動詞(avoid、mind、enjoy など)もあるので注意が必要だ。


注:
・Style Guide とは『The Global Engilsh Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.4」の内容に該当する。


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3 3月

グローバル英語のスタイル(1):名詞は名詞、動詞は動詞のように本来の品詞の意味で使う

ある単語を使う場合、標準的な辞書に書いてある品詞を使うこと。

Style Guide では次の例を挙げている。
In order to action this report, you must respond by selecting...
この場合の「action」は動詞として用いられている。action は本来名詞であるため、英語から別の言語に翻訳する場合、翻訳者が新しい訳語を考案して当てなければならない。そのため翻訳に余計な時間がかかる可能性がある。また、非ネイティブであれば辞書に書いてない品詞なので解釈できないことも考えられる。
上記の英文を(例えば)日本語に翻訳する場合、恐らく「このレポートを出させる」や「このレポートの処理結果を見る」のようになるだろう。この場合、「出させる」や「処理結果を見る」のように読む側で何らかの言葉を補う必要があるということである。

また Style Guide では別の例も挙げられている。
× This section explains how to change the text of items in the pop-up.
○ This section explains how to change the text of items in the pop-up menu.
×では、形容詞が動詞として使われている。「pop-up」は通常は形容詞であるため、特に名詞に性別がある言語(フランス語やドイツ語など)に訳す場合、翻訳者が隠れている名詞を探し出して性別に合致した定冠詞を付けなければならない。そういった労力を減らすために、○の例のようにあらかじめ適切な名詞「menu」を追加しておくことが求められる。
日本語の場合「ポップアップ」が名詞となっているため英文を書いたときに気づかないが、それが名詞として使われてない言語もあるということである。

私が翻訳していると、たまに「installable」という単語が名詞として使われている例に遭遇することがある。形容詞は「インストール可能」だが、名詞として訳す場合は内容に応じて「インストール可能ファイル」のようになる。このように、日本語でも何らかの名詞を補う必要があるケースも存在する。
ちなみに同じく -able の形である「deliverable」(成果物、納品物)は辞書でも名詞になっているため、そのまま使っても問題ないだろう。


注:
・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・本項目は、Style Guide の「2.2」の内容に該当する。


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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについては会社のウェブサイトをご覧ください。
著書
ソフトウェアグローバリゼーション入門
インプレス刊
『ソフトウェアグローバリゼーション入門』

達人出版会刊
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


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『IT英語リーディング』


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