rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

7 7月

トライアルを作る

翻訳業界には「トライアル」なるものがあります。

私が知る限りでは、
  (1)翻訳を発注したい会社が翻訳会社を選定するために行なうテスト
  (2)翻訳会社がフリーランスの翻訳者を選抜するために行なうテスト
の 2 種類があります。
いずれの場合も、「仕事を出す先」をテストするわけです。

今、(2)の意味でのトライアル課題文を作っています。
(さすがに内容については言えませんが)

これまでにも作ったことはあるのですが、何度やっても悩みます。
このテストで翻訳者を選抜するわけですから、あまり簡単では駄目だし、かといって現実に遭遇しないようなひねくれた文を出しても実力は測れない・・・。
などと思っていたら、こんな本があるんですね。

「トライアル現場主義!―売れる翻訳者へのショートカット」
http://www.amazon.co.jp/dp/4621076043

ただ、トライアルというのは各翻訳会社で重視する部分が違ったり、どのレベルの翻訳者を募集しているかで合否基準が異なったりするので、対策を立てるのは簡単ではないでしょう。
5 7月

Google Translator Toolkit の使い方: 中級編(2)グロッサリ

※ この記事は 2009 年 7 月に書かれたものです。内容が古くなっている可能性があるためご注意ください。(2010/10/31)


中級編(1)翻訳メモリ」に引き続き、中級編(2)としてグロッサリについて触れます。
「グロッサリ」とは用語集のことで、一般的な辞書にはない用語や、特定の組織や企業の中で使用する用語をまとめたものです。


◆ グロッサリの作り方

Google Translator Toolkit の場合、グロッサリは CSV 形式(文字コードは UTF-8)で作ります。
1 行目はヘッダで、次の情報を記入します。

  ・ロケールのコード: 英語の場合は「en」、日本語の場合は「ja」。言語の数だけ列を追加します。
  ・品詞(オプション): 品詞の列であることを示すために「pos」(part of speech の意)と記入します。
  ・説明(オプション): 説明の列であることを示すために「description」と記入します。

2 行目以降はデータ行で、ヘッダに対応した内容を記入します。

  ・ロケールのコード列: 各ロケールに対応した言葉を入れます。en に「dog」と入れた場合、ja に「犬」と入れるといった具合です。
  ・品詞列: 名詞は「noun」、動詞は「verb」、形容詞は「adjective」、副詞は「adverb」です。
  ・説明列: どういった文脈で使うのかといった情報を記入します。

CSV 形式なので、もし用語や説明にカンマが入る場合は、ダブルクォーテーション(")で囲みます("Asia, Oceania")。ダブルコォーテション自体使う場合は「\」でエスケープします。

例えばテキストエディタで作成した場合、このような形になります。

090705_11


また MS Excel を使う場合、このように作成して CSV 形式で保存します。

090705_1


いずれの場合でも文字コードを UTF-8 に変えましょう。


◆ グロッサリの使い方

1. 作成したグロッサリをアップロードします。

メイン画面で [Glossaries] を選択し、[Add] をクリックします。

090705_2


作成したグロッサリを指定し、名前を決めた上で、アップロードします。

090705_3



2. 翻訳対象のドキュメントを開きます。

    ・新規のドキュメントを開く場合
    1. 「Upload Document for Translation」の画面を開きます。
    2. [Sharing] の [+] で展開し、グロッサリを指定します。

    090705_4


    既存のドキュメントを開く場合
    1. ドキュメントを開き、[Edit] メニューの [Properties...] をクリックします。
    2. ダイアログでグロッサリを指定します。

    090705_5


今回は新規ドキュメントを開いたケースを例とし、次のような文が入ったテキストを訳してみます。

    It identifies the caller.
    Use a public method for accessors.


3. 作業画面の [Show toolkit] を押すとツール ペインが表示され、[Glossary] タブをクリックします。

すると、次のように先ほど作成したグロッサリが表示されます。
このグロッサリを参考にしながら機械翻訳済みの文を修正していきます。

090705_6



以上です。
1 7月

Google Translator Toolkit の使い方: 中級編(1)翻訳メモリ

※ この記事は 2009 年 7 月に書かれたものです。内容が古くなっている可能性があるためご注意ください。(2010/10/31)


入門編でグローバル TM を使って一通り翻訳する方法を紹介しました。
次は中級編の(1)として、自分で TM を作ってみます。

確認ですが、「TM」は「翻訳メモリ」のことです。
原文と訳文をセットにして格納するデータベースで、既存原文に近い新規原文が翻訳対象ドキュメント中に登場した場合、その既存原文に対応する訳文を検索して取得してくれるツールです。


◆ TM の作り方

1. Google Translator Toolkit のサイトにアクセスし、Google のアカウントでログインします。

2. 左カラムから [Translation memories] をクリックして選択します。

3. [Add] をクリックします。

090701_01

4. 翻訳メモリの追加画面が表示されるので、必要な情報を入力します。

090701_02

  ・[Select a file: (optional)]
    →  .tmx ファイルを使う場合に入力(オプション)。

  ・[Translation memory name]
    →  作成するメモリの名前を入力。

  ・[Sharing]
    →  作成するメモリを他人と共有する場合は [Share with everyone]、共有しない場合は [Not shared with everyone] を選択。一度選択したら変更できません。

.tmx という名前が出てきました。
これは翻訳メモリのオープンな XML 標準です。
プロの翻訳者はよく Trados というツールを使いますが、この Trados にも採用されています。
もし仕様に興味があればこちら

5. [Add TM] をクリックします。

6. 「空の TM を作成しますか?」という確認が表示されますが、[OK] を押します。

090701_03

7. このように TM ができあがります。
[Sharing] が [me] となっているのは、誰とも共有せず自分だけで使っているということです。

090701_04

8. できあがった TM はドキュメントを翻訳する際に選択できるようになっています。

  ・既存のドキュメントで別の TM を変更する場合
    1. 開いたドキュメントのメニューから [Edit] → [Properties...] を選択します。
    2. Properties ダイアログが出るので、プルダウンから使用する TM を選択して [OK] をクリックします。

  090701_05

  ・新規のドキュメントで別の TM を変更する場合
    1. ファイル選択の画面で [Active] なドキュメントの [Upload] を選択します。
    2. ドキュメントのアップロード画面で [Sharing] の [+] ボタンを押して展開します。
    3. 使用する TM を選択します。

  090701_06


このように非共有の TM を作っておくと、翻訳した訳文を自分専用に保存し、後で再利用できます。


以上です。
次回は中級編の(2)として用語集の設定について書こうかと思います。
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筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者/コンサルタント。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所代表社員。ソフトウェアのインターナショナリゼーションやローカリゼーションが専門。

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