IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

Android Market でアプリを買ってもらったあと、何らかの理由で返金したい場合があります。
例えばクレームが来たような場合です。

次のような手順で返金できます。

(1)
開発者用コンソールで、「View Merchant Account」リンク(図の赤枠)をクリックする。

00_console


(2)
次に表示される画面の「Order Number」列で、返金したいユーザーのリンク(図の赤枠)をクリックする。

01_link


(3)
次に表示される画面の「Refund some money...」リンク(図の赤枠)をクリックする。
「some money」とありますが、私が試した範囲では返金は全額で、一部のみの返金はできないようです。

02_refund


(4)
「Process a refund」というダイアログが表示される。
  • 「Select reason...」ドロップダウンリスト:
    返金理由を選択しますが、これは Google に通知されるだけでユーザーには知らされないようです。

  • 「Comments to the buyer」テキストフィールド:
    買い手へのメッセージを記入します。これは買い手へ送られる返金通知メールに記載されます。

  • 「Process refund」ボタン:
    このボタンを押すと返金が実行されます。


03_dialog


(5)
返金結果が表示される。
例えば 99 円のアプリの場合、販売時に Google が手数料として 30%(30 円)取ります。返金すると、この 30% 分は Google が売り手に戻してくれます。

04_result


(6)
買い手に返金通知メールが送られる。
このような文面のメールが買い手に送られます。(4)で書いたメッセージも送られています(赤下線部)。

05_mail


手順は以上です。
返金が発生するようなケースはあまり望ましくありませんが、そういう手段があることは把握しておきたいものです。
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前回の記事で、単なる翻訳ではなく、文化も含めた「ローカリゼーション」という考え方が必要であると書きました。

ローカリゼーションとは、狭義にはソフトウェアのローカリゼーションを指すのですが、広義にはあらゆる製品のローカリゼーションを指すこともあります。
例えば日本では自動車は左側通行なので右ハンドルですが、アメリカでは逆です。そのため、アメリカに製品(自動車)を輸出する際は、現地の状況に合わせて左ハンドルにします。これが広義のローカリゼーションです。

最近の例として、先月のこのようなニュースが挙げられるでしょう。

 東芝、ASEANシェア20%に向けバッテリ内蔵TVを発売
 http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20101129_410249.html
バッテリを内蔵した「PC1」は、現地の電気供給状況に配慮し不意の停電時にも内蔵のバッテリからの電源供給に切り替えることで、最大2時間の視聴が可能となるという。

日本では停電はまれにしか発生しませんが、頻繁に停電が発生する国もあります。そういった現地の状況に合わせてバッテリを搭載した製品を販売するようです。


◆ 大企業でも問題が起こるローカリゼーション

大企業ならばローカリゼーションは完璧だろうと思っていると、必ずしもそうではなく、問題になることがあります。

例えば 2007 年にソニーがゲームを世界各地で販売(開発は米企業)しましたが、イギリスで論争になりました。
マンチェスター大聖堂で銃撃戦を行っているとして、教会が怒ったのです。国会でも取り上げられ、結局ソニーは謝罪することになりました。

 英国国教会、ソニーの殺戮ゲームに激怒。法的措置も辞さず
 http://japanese.engadget.com/2007/06/10/sony-fall-of-man/
英国国教会 マンチェスター大司教によれば、神聖な教会施設を暴力的なゲームの舞台として使用するのは極めて不適切かつ屈辱的であり…

 ソニー、英国国教会に謝罪:「銃撃戦はエイリアンから大聖堂を守るため」
 http://japanese.engadget.com/2007/06/17/sony-sorry/
さて、いつの間にか国会質疑にとりあげられ「国教会だけでなく英国民を侮辱」「企業の社会的責任」といった問題にまで発展している…

ゲーム開発自体は米企業が行ったらしいため、ソニーがどれほど文化的・宗教的な部分にかかわっていたかは分かりません。大丈夫だろうと思っていても、問題に発展することはあります。


十分に考慮していても、問題になってしまったケースは他にもあります。例えば、味の素の事件です。
味の素はインドネシアで製品を販売していたのですが、2000 年にイスラム教でタブーとされているブタ肉を使っているという噂が流れました。結局、最終製品にブタの成分は入っていなかったのですが、ブタ由来の酵素が触媒に使われているとしてこの酵素を使わないことにしました。
当時の味の素のプレスリリースです。

 インドネシアにおけるハラール問題について
 http://www.ajinomoto.co.jp/press/2001_01_06.html
インドネシア味の素㈱では、グルタミン酸ソーダを生産する上において、主原料及び副原料については、ハラールの重要性を十分に認識し、ハラール違反になる物質は一切使用しておりません。グルタミン酸ソーダは、発酵により生産されますが、発酵に発酵菌を使用しています。今回指摘されたのは、発酵菌の保存用の培地の一部の栄養源として使用している外部より購入した大豆蛋白分解物質が、その製造過程において触媒として豚由来の分解酵素を使っていたということです。
 ※「ハラール」とは、イスラム法上で食べられる物のこと。

このように、配慮していても問題になってしまうことはあります。


文化面も考慮した「ローカリゼーション」は、海外に製品を販売する場合、非常に重要になります。文化や宗教は感情的な反発を招いてしまうことがあります。ただし「失敗を恐れて海外に出ない」という選択肢は、あまり望ましいとは思えません。他国の文化を十分に調査して考慮した上で、勇気をもって挑戦したいものです。
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先日、知り合いがかかわっている「カタぞう」という Android アプリを使ってみました。
感想を求められたのでダウンロードしたのですが、要するにプリクラのような写真が撮れるアプリです。撮影した写真や「型」は、他のユーザーと共有できるという機能もあります。

ユーザー体験に関して意見をいくつか出した後、「ダウンロード数を増やすにはどうしたらよいか?」ということも聞かれました。Android Market でのダウンロード数は 1,000 を少し超えるくらいのようです。なかなか面白いアプリのわりには、確かにダウンロード数が少ないと感じました。

やはり大きくダウンロード数を伸ばすには、英語版を出して世界中のユーザーを取り込む必要があるのではないかと答えておきました。
特にこのようなユーザー参加型のアプリの場合、ユーザー投稿が増えるとコンテンツが充実し、さらにユーザーが増えるという好循環が期待できます。逆にその好循環が生まれなければ、規模を拡大するのは難しいのではないかと感じます。


◆ 「ローカリゼーション」という考え方が必要

英語でアプリを出す場合、やはりいくつもの壁を乗り越えなければなりません。
実のところ、単純に英語化するだけであれば、それほど難しいことではありません。翻訳会社に頼んでも、モバイル アプリのテキスト量なら大したコストにはならないはずです。問題は、

 ・そのアプリ自体が文化的に受け入れられるのか?
 ・そこに書かれた英語は文化的に適切なのか?

といった点ではないかと思います。

言語はもちろん、文化も考慮しながら現地化することを「ローカリゼーション」と言います(地域化、L10N とも)。必要なのは単なる翻訳ではなく、このローカリゼーションという考え方です。以前のブログ記事にも書きましたが、翻訳はしたものの、ローカリゼーションでうまくいかなかったというケースはよくあります。


日本にはこのアプリのほかにも、優れたアプリがたくさんあります。
乗り越えるべき壁は低くはないですが、壁の向こうには大きな世界があるはずなので、ぜひ挑戦してもらいたいと感じました。
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