ダイヤモンド・オンラインにクリス・アンダーソンのインタビューが載っていた。

独占インタビュー!『FREE』著者のクリス・アンダーソンが語る「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」
http://diamond.jp/feature/dolweekly/10001/

タイトルの通り、ほとんどが『Free』に関する話題である。しかし、最後の方で次に発表する本について少し話している。
それほど長くないので引用してみる。
―あなたの次の本のテーマは「マイクロ製造」だと聞く。それが新産業の一つの例か。

そうだ。今やインターネットのおかげで、私のようにエンジニアではない人間でもラップトップ上でロボットを設計し、ごくわずかな単位でも中国の企業に製造を発注できる。どんな小さな企業も、街中のクリーニング店以上の存在になれる時代だ。世界にインパクトをもたらすことができる時代だ。実は私も最近、ロボット製造ベンチャーを起業した。

インターネットは企業という組織を離れて新しい共同作業を行う方法を与えてくれた。次は、その教訓を現実のモノの世界に応用することになるはずだ。要するに、アトム(物質)が次なるビット(情報)なのだ。つまり、PCの中でビットを扱うように、物理的なものを自在に組み合わせて何かを作ることができるということだ。

―あなたの関心は、既存産業の破壊にあるのか?

違う。“個”の台頭だ。『ロングテール』は小さな個別市場の台頭にスポットライトを当てた。『フリー』はプラットフォーム上での“生産”が無料になれば、人びとが金銭だけにとらわれず行動できるようになることを説いた。

そして次の本は、需要と製造の可能性はまだまだあるということについて書く。大企業で働かなくとも、いいアイデアと熱意、そして貢献できる“何か”を備えていれば、その個人の潜在能力は計り知れなく大きいことを示したい。
これは、アンダーソンが Wired の 2 月号に書いた記事と同じ内容だろう。
リンク先は英語である上に少々長いので、概要を知りたい方は私のブログに要約を載せてあるので読んでいただきたい。
また、アンダーソンが同じく Wired の Podcast で行なったインタビューもこちらで聴ける(ただし英語)。

簡単に言うと、(1)プロトタイプ ツールの低価格化(2)中国の工場へのネット経由による発注、という 2 点によって、資本の少ない個人がデザインから製造まで行なえるようになりつつあるということである。
これは、個人がブログや DTP で「出版業」ができるようになってビットのロングテールが実現したのに対し、モノのロングテールが始まることを意味する。
しかしそれによって製造業を行なっている大企業を打ち倒す、というわけでは必ずしもない。大企業が扱わないようなロングテールの部分を狙うということである。Wired の記事では、例えば「レゴ ブロックの兵隊の武器」という非常に狭くて大企業が進出しないような分野で商売している会社が紹介されている。

注意したいのは、製造業といっても個人が担うのはデザイン(設計)の部分であって、実際の製造は中国に委託するということである。これはアップルの製品に「Designed by Apple in California, Assembled in China」と書いてあるのと同じだ。
個人が担当し、かつ高い付加価値を与えられるのは、そういったデザインの部分(知識集約型)なのであり、実際に機械を使った製造という部分(資本集約型、労働集約型)ではない。