接続詞である and や or でつなげられた名詞句は、かかり受けが曖昧になることがある。また書く側がそれに気づかないため、問題になることもある。
Style Guide の例:
○ We had apple pie and ice cream for dessert.
× We had apple pie and ice cream for dessert.

この例では、apple が pie だけにかかるのか、それとも ice cream にもかかるのかという点を問題にしている。
常識的に考えれば、apple は pie だけにかかる。しかし、apple ice cream という解釈も不可能ではない。このように、書く側からすれば何も疑問を持たないところで曖昧さが発生することがある。

これに対処する方法はいくつかある。

A. 各名詞句で同じ文法構造を使う
Style Guide の例:
× Table 8.1 shows average ages and salaries for employees in each division.
○ Table 8.1 shows average ages and average salaries for employees in each division.
(参考訳:表 8.1 は、各部門に所属する従業員の平均年齢と平均給与を表している。)

ある修飾語が複数の非修飾語にかかる場合の対処方法である。
後者では、average という単語を追加することで構造を同一にしている。これにより書いていると冗長に感じるかもしれないが、曖昧さはなくなる。

B. 接続詞の後に冠詞を入れる
上記 A とは異なり、ある修飾語が複数の非修飾語にかからない場合、非修飾語(名詞)のそれぞれに冠詞を追加して、独立した名詞として扱う。
Style Guide の例:
× Use the FILENAME statement to specify a logical member name and member type.
○ Use the FILENAME statement to specify a logical member name and a member type.
(参考訳:FILENAME 文を使用して、論理的なメンバー名と、メンバータイプを指定します。)


C. 名詞句の順番を変える
ある修飾語が最初の名詞句だけを修飾する場合、後の名詞句と順番を入れ替えると曖昧さがなくなる。
Style Guide の例:
× Be careful when your input includes leading blanks and semicolons.
○ Be careful when your input includes semicolons and leading blanks.
(参考訳:セミコロンと行頭スペースが入力内容に含まれる場合、注意してください。)


D. リストを使う
3 つ以上の名詞句が文末に並ぶ場合、リストすることを検討する。

E. 前置詞を繰り返し使う
1 つ目の名詞が前置詞句の一部であった場合、前置詞を繰り返して使うこともできる。
Style Guide の例:
× The stored query is executed when you use the view in a SAS procedure or subroutine.
○ The stored query is executed when you use the view in a SAS procedure or in a subroutine.
(参考訳:SAS プロシージャ内またはサブルーチン内でそのビューを使用すると、保存されているクエリが実行されます。)

前者では「SAS」が procedure だけにかかるのか、subroutine にもかかるのか分からない。後者のように前置詞を繰り返すことで、かかる範囲が明確になる。

E. 注を入れる
上記のような方法でかかり受けを明確にしようとすると、かえって文が変になってしまうことがある。その場合、翻訳者向けに何が何を修飾するのか、注意書きを入れることを検討する。



・本項目は、Style Guide の「4.6」の内容に該当する。
・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・背景が濃くなっている部分は引用箇所である。


The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global MarketThe Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market
著者:John R. Kohl
販売元:Sas Inst
発売日:2007-10-26
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