代名詞 it、its、they、them、their が何を指すか明確でなければ、解釈や翻訳がうまくできないことがある。
言語によっては代名詞に「性別」が存在する。日本語では単に「それ」や「これ」とすればよいが、性別のある言語ではこのように処理することはできない。

A. 主格代名詞と目的格代名詞:it、they、them
Style Guide の例:
× Once you define the basic structure of your table, enhancing it is easy.
○ Once you define the basic structure of your table, enhancing the table is easy.
(参考訳:表の基本構造を定義すると、表を簡単に改善できるようになります。)

前者では it が basic structure を指しているのか、your table を指しているのか、明確ではない。後者のように it の内容を明確にすることで曖昧さがなくなる。
同じ単語の繰り返しは、書く側からすると冗長に感じるが、誤読や誤訳を防止するためには繰り返しても問題ない。

B. 所有格代名詞: its、their
× If a numeric variable has a character string as a formatted value, its unformatted numeric value is transposed.
○ If a numeric variable has a character string as a formatted value, then the variable's unformatted numeric value is transposed.
(参考訳:フォーマットされた値として文字列が数値変数内に格納されている場合、その変数のフォーマットされていない値は置き換えられます。)

前者の場合、its は下線が引いてある 3 つの名詞のどれを指しているのか確定できない。後者のように「variable's」と名詞を明示することで、内容が明確になって誤読がなくなる。

高校の英文法では無生物に「's」を付けることは望ましくないと言われているが、分かりやすくするために使うのは問題ない。



・本項目は、Style Guide の「5.1」の内容に該当する。
・Style Guide とは『The Global English Style Guide: Writing Clear, Translatable Documentation for a Global Market』を指す。
・背景が濃くなっている部分は引用箇所である。


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著者:John R. Kohl
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発売日:2007-10-26
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