Android アプリのコンテストである「Android Application Award 2010 Spring」に応募した。会社で開発した「シンプル体重レコーダー」である。アプリケーション自体は非常に簡素なものなので入賞は難しいだろうが、試しに出してみた。

この「シンプル体重レコーダー」のダウンロード数は、すでに 80,000 を超えた。Androlib というサイトの統計情報を見ると、8 万ダウンロード程度だと上位 2〜3% くらいに入りそうだ。これほど多くの人に利用していただけているのは、ありがたいの一言である。しかし、半分素人のプログラマである私が開発したアプリが、なぜここまでダウンロードされたのだろうか?
以前のエントリでいくつか理由を考えたのだが、基本的に今もそれが正しいのではないかと考えている。すなわち、

 1. 英語で作成した
 2. アプリケーションの目的が明確であった
 3. 早い時期に参入した
 4. アップグレードした

という理由である。

この中でも特に重要なのが 1 であると感じている(2 も重要だとは思うが)。
つまり、英語で作成することで、ユーザー数の多いアメリカ人をターゲットにできた点に加え、非英語圏(ドイツなど)で英語が分かるユーザーにもダウンロードしてもらえたのである。英語でアプリケーションを公開するということは、単にネイティブ人口だけがターゲットになるのではない。外国語として英語を教えている国は多いため、こういった層もユーザーになるのである。世界市場を狙えるのは、Android アプリの開発者にとって大きなチャンスである。


ところで 3 月に au が Android 端末を発表したとき、このような発表があった。
「au one Market」の提供開始について

「au one Market」は、auの「Android™搭載スマートフォン」向けに、日本国内のお客さまニーズに最適化されたアプリケーションを集めたマーケットプレイスです。

http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/0330b/besshi.html

日本人のユーザーが使いやすくなることは、いいことだろう。その点に異議はない。しかし問題は、開発者の側である。もし開発者が国内専用マーケットで日本人相手に満足するのであれば、せっかくターゲットにできる世界市場を逃すことになる。「ガラパゴス」のままである。
同様のマーケットはドコモも持っているし、Taosoftware さんのブログによると Vector もマーケットを作るようだ。


ご存知のように、現在 Android 端末はアメリカのみならず、日本でも増え続けている。近い将来、モバイル人口が増え続けている新興国でもかなりの数になるだろう。新興国のモバイル普及を考える上で重要なのは、先進国と同じ普及過程をたどるわけではないという点である。
日本のような先進国の場合、まず電話線や電線のようなインフラが整って有線電話が普及したあと、ここ 20 年ほどの間に携帯電話の基地局が設置され普及した。新興国の場合、有線電話のインフラが整備されてから携帯電話のインフラが整備されるとは限らない。いきなり携帯電話が普及するのである。

例えば、去年「世界で最も革新的な企業」の 50 社に選ばれたインドの VNL 社は太陽電池式の携帯電話基地局を販売している。太陽電池であるため、電線を引いたり発電機を設置する必要はない。当然電話線も要らない。インフラを整えなくても、携帯電話を普及させられるのである。
(ところで VNL の製品紹介がこちらにある。見るとなかなか面白い。)

また 2009 年 9 月にエコノミスト誌に「通信産業:モバイルマネーの威力」という記事が載った。ここではモバイルマネーを活用しているアフリカの例が挙げられている。インフラが整備される前にモバイルが普及し、先進国と遜色ないレベルで活用されているのである。

世界に英語でモバイル アプリを出すというメリットはここにもある。つまり、将来的に、巨大な人口を抱える新興国もターゲットにできる可能性が生まれるのである。


このように、英語でモバイル アプリを開発するメリットは非常に大きい。日本の開発者は国内だけではなく、巨大な海外市場にも目を向けるべきではないか。もし障壁があるとすれば、一番は言葉(たいてい英語)ではないかと感じる。しかし言葉が分からなければ、分かる人を雇えばいいだけのことである。結局、言葉なんて金で解決できる問題なのだ。利益が費用を上回るならばチャレンジを考えるべきだと思う。