Google Apps Marketplace」が 3 月 9 日に公開されてから約 3 か月が経過した。公開当初は日本でもニュースになったが、その後は大きな話題にはなっていないようである。

Google Apps Marketplace とは、簡単に言えば「Web アプリケーション提供のインフラ」である。SaaS 型アプリケーション スイートである Google Apps と連携させ、Apps のユーザーがシームレスにサードパーティの Web アプリケーションを使えるようにする仕組みだ。
Web アプリの提供会社は、Google Apps のユーザー向けにアプリを販売できるのである。


◆ 特徴

・Google Apps に統合できる
 → ユーザーは Apps の画面からシームレスにサードパーティ アプリを起動できる

・Google Apps のユーザー数は 2,500 万以上、採用企業は 200 万以上
 → ユーザーベースが大きいため、収益化の可能性が高まる

・自社サーバーを使用可能
 → Google App Engine である必要はない。もちろん使ってもよい

・全く新規で開発する必要がない
 → すでにある Web アプリと連携できる

・利用料はそれほど高くない
 → Marketplace への登録費用は初回の 100 ドル。Apps と統合する場合、売上の 20% を Google に支払う

大きな特徴として、すでに SaaS でビジネス向け Web アプリを提供する企業は、一から開発しなおす必要がない点が挙げられる。連携部分などの開発で対応できる。小規模なソフトウェア会社でも、多数のユーザーにリーチできるというメリットがある。Google App Engine などを使えばサーバーコストも抑えられる。売上の 20% が高いと感じるかもしれないが、相当数のユーザーにリーチできることを考えれば妥当な気がする(Android や iPhone は 30% 取られる)。


◆ Marketplace の現状

5 月中旬に調べたところ、公表されているアプリケーション数は 500 ほどであった。ただし CRM や ERP のような大規模なアプリケーションは数十程度で、ツールに近いアプリ(メール管理など)が数百点と大半を占めている。詳しくは実際の Marketplace でカテゴリ別に確認していただきたい。

また、有料アプリも多い。ユーザー 1 人あたり毎月 7〜8 ドル程度を課金するケースもよく見られる。Android のような個人向けが主のアプリと比較すると、収益化がしやすい印象を受けた。


◆ 技術上のポイント

すでに Web アプリケーションを所有している場合でも新規に開発する場合でも、Apps との統合が技術上のポイントとなる。

・ユーザー認証
ユーザー認証には「OpenID」を使う。これにより、Google Apps のユーザーが再ログインなしでシームレスに外部 Web アプリケーションを使える。

・権限委譲
例えば Apps ユーザーの Calendar から予定を取得し、Web アプリで使いたいとする。この場合 Calendar 情報を提供するかどうかは「OAuth」が扱う。Web アプリ ベンダーはどの情報が取得したいかを表明し、それに対して Apps 管理者が許可を出すという方法である。

他にも技術的なポイントはあるが、基本的には OpenID と OAuth という 2 点のようだ。


◆ 参考情報

・Google Apps Marketplace(英語)
https://www.google.com/enterprise/marketplace/
 → ここにアプリが公開される

・Developer Program Site(英語)
http://developer.googleapps.com/
 → 開発者向け情報。Marketplace での販売方法なども解説している

・Google Apps Marketplace 企業向けアプリ出店入門
http://www.atmarkit.co.jp/fwcr/special/appsmarketplace/01.html
 → 具体的なアプリの公開方法を解説している

あと、私のブログで恐縮だが、Google Apps Marketplace カテゴリでいくつブログ記事を書いている。


※ 本ブログ記事は、執筆時点での最新情報で書いた内容です。