私が公開している Android アプリでは、AdMob という広告サービスを使っています。
以前の記事に書いたように、メインユーザーがアメリカ人の場合、AdMob が選択肢の一つだと考えているからです。

その AdMob には「自社広告」の機能があります。
これは自分のアプリ上に自社製品の広告を載せられるという機能です。費用はかかりません。ただし文字数は 35 までという制限があります。次の画像のような広告です。

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そこで、無償で提供している「Simple Weight Recorder」上に、有償版「Simple Weight Recorder Pro」の広告をしばらく載せてみました。日々のクリック率を見ながら、広告文を変えてみました。
以下の表が 12/16 からの結果です。左から、日付、曜日、英語広告文、インプレッション(広告表示回数)、クリック数、クリック率です。

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◆ 言語面、文化面での考慮

ちょうどアメリカはホリデー シーズン(11 月末からクリスマス近辺まで)だったので、それに合わせて価格を下げてキャンペーンをしてみました。そして 12/17 には「Discount only during holiday season」という広告を載せました。

このときモバイル広告の英文について思ったのは、次のようなことです。

・単語の選定に苦労する
この広告文はちょうど 35 文字ですが、スペースも 1 文字なので実はたった 5 ワードです。冠詞なんて付けられません。この辺の単語の選び方は、恐らくネイティブでも悩むところでしょう。コピーライティング的な能力が求められそうです。
AdMob で 35 文字ですが、恐らくほかの場合もそれほど変わらないのではと思います。

・文化的に適切かどうか考慮する
例えば「Christmas」などと書いてしまうと、キリスト教徒以外が見ると不愉快になるかもしれません。そういった文化的な部分で文言に配慮が必要かと思います。そのため今回は「holiday season」としました。

・読者の英語力を考慮する
あまりにネイティブっぽい表現だと、非ネイティブに伝わらないかもしれません。しかし意味内容を伝えるだけの表現だと、人を惹きつける広告文にならないかもしれません。
このバランスが難しそうです。

上記の 3 つは主に言語的、文化的な問題です。


◆ マーケティング面での考慮

12/17 に広告を変えたあと、クリック率は 1 パーセント台後半だったので、12/27 に再度差し替えてみました。
文言は「Discount ends by year-end. Hurry!」(33 文字)です。

今回は、割引価格終了の時期を明確にし(年末)、「お急ぎください!」という言葉を入れました。上の図を見て分かる通り、これによってクリック率が 3% 以上にまで大きく上昇しました。前日の 2 倍近くあります。

「やはりこの手の方法はクリック率を上げる効果があるのだ!」と思ったところ、知り合いの @togaeri さんから以下のような面白い指摘をいただきました。

限定カードは、仰る通り即時性は高いけど、何度も切ると信頼性が落ちる。長期的なブランディングが必要か、商材によって考えるといいと思いますよ…

http://twitter.com/togaeri/status/19647130004099072


また、クリック率が上がったのに有償版の販売数が伸びていないと私が言うと、
はい、所謂CVR(Conversion Rate)の問題ですね。限定カードを切ると、総じて低くなりがちです。何故なら自分のニーズを満たしているか、とりあえずクリックして確認する人が増えるからですね。提供している内容が明確だとCVRは上がりやすくなりますが…。

http://twitter.com/togaeri/status/19650452597514240

なるほど、こういったことは知りませんでした。
英文で広告を出す場合、単に言語面や文化面だけではなく、マーケティング面も考えなくてはならないですね……。


個人で何でもやろうとすると確かに苦労は多いです。しかし、知識の幅が広がるという楽しさもあります。
これからもいろいろと試してみたいと思っています。