2013-01-15:情報が一部古いのでご注意ください。

2011/9/25 更新: 実績データに基づき、一部のデフォルト値などを変更しました。変更後または追加の情報は黄色でハイライトしてあります。
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Android アプリで広告収入を得たいと考える開発者や企業は多いかと思いますが、どのくらいのダウンロード数やクリック単価があればいくらくらいの収入になるのか、全く見当がつかないことが多いでしょう。
また、実際にアプリに広告を載せている開発者でも、例えば広告更新頻度を 2 倍にしたときにどのくらい収入が変わるのか、あるいは「○○円売り上げるにはどのくらいダウンロード数が必要か」などを確認したいことがあります。

そこでアプリの広告収入シミュレータを作ってみました。
ダウンロード数やクリック単価など、合計 9 つのパラメータを入力すると、「月間収入予測」が表示されます。

パラメータにどの程度の数字が入るのか分からないと思う人も多いと思うので、各パラメータにいくつかシナリオを用意してあります。高位シナリオ〜低位シナリオ、あるいは楽観シナリオ〜悲観シナリオです。デフォルトでは中間の数字が入っています。すでに自分のアプリでデータがある方はそれを入力してください。
シナリオの数字の範囲は私の Android アプリの実績を基に予測しました。しかしデータがそれほど多いわけではないので、実際にアプリを出している方は「自分のと違う」と感じるケースもあると思います。

■ 使い方

【1】〜【9】にある各フィールドに数字(半角)を入力し、最後に「計算」ボタンを押してください。「月間収入予測」と、それを導くまでの計算結果が表示されます。
数字がよく分からないフィールドについては、とりあえずデフォルトの数字(中間シナリオ)のままで試してみてください。


【1】 ダウンロード数

アプリのダウンロード総数。他人のアプリであっても、Android Market などでおおよその数字は確認できる。外部から見た場合、これしか客観的な数字が分からないため注目される。しかし後述するが、必ずしも「ダウンロード数=広告収入」ではない。

・1,000,000 → 個人や中小企業が到達するのはなかなか厳しいか
・250,000 → Android Market の上位約 1 % 以内
・50,000 → Android Market の上位約 3.5 % 3.1% 以内
・10,000 → Android Market の上位約 11 % 8.8% 以内
・5,000 → Android Market の上位約 16 % 12.8% 以内
(Androlib の統計情報: http://www.androlib.com/appstatsdownloads.aspx


【2】 アクティブインストール率

インストールしたユーザーがどのくらい手元に残しておくか。単純にアンインストールしていない割合。良いアプリなら高くなる。Android Market の開発者コンソールで確認が可能。

%

・80 % → ダウンロードした人はほとんどアンインストールしない
・60 %
・40 % → ダウンロードした人の半分ちょっとがアンインストールする
・20 %
・10 %


【3】 アクティブユーザー率

当月に少なくとも 1 回はアプリを使っているユーザーの割合。使わないのにインストールしたままのユーザーを除外する。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

%

・80 %
・60 %
・40 %
・20 %
・10 %


【4】 1日あたりの平均利用率

アクティブなユーザーが 1 日 1 回アプリを起動する場合に 100% と考える。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

%

・500 % → 1 日 5 回。例えば、毎日 5 回は見る SNS ブラウザ
・100 % → 1 日 に 1 回。例えば、毎日 1 回は見る天気予報アプリ
・33 % → 3 日に 1 回。例えば、3 日に 1 回記録する体重計アプリ
・15 % → 週に 1 回。例えば、たまに起動する時刻表検索アプリ
・3 % → 月に 1 回。例えば、一度設定したらあまり起動しないツール


【5】 1利用あたりのリクエスト回数

1 回アプリを起動したときに発生する広告リクエストの合計数。ゲームのように滞留時間が長く、かつ一定時間置きに自動更新すると増える。複数の画面で広告を出すならば、当然多くなる。正確に測るには、アクセス解析ツールなどを使う必要がある。

・30 回
・15 回
・7 回 → 例えば 1 画面のアプリでユーザーは平均 3.5 分間使う。30 秒ごとに広告更新すると計 7 回リクエストされる。
・3 回
・1 回 → アプリを起動すれば 1 回はリクエストされるはず


【6】 広告表示率

アドネットワークの在庫や、得意とする地域によって異なる。アドネットワークの選択や組み合わせで変わる。利用しているアドネットワークでデータを確認可能。
例えば AdMob は北アメリカやヨーロッパではそこそこの表示率を確保できるが、アジアでは低いといった特徴がある(参考記事1参考記事2参考記事3)。

%

・90 %
60 % 70 %
40 % 50 %
10 % 30 %
5 % 10 %

ユーザーがほとんど国内で、かつ国内表示率 100 % のアドネットワークを使う場合、100% 近い数字が出ます。また、大手 AdMob の地域毎の表示率の実績を私のブログで公開しているので、そちらも参考にしてください。例えば 2011 年 8 月分です。


【7】 クリック率

広告内容とユーザーの関心がうまくマッチすれば高くなるか。広告を画面のどこに配置するかも重要になる。アドネットワークでデータ確認可能。

%

・3 %
1 % 1.3 %
0.5 % 0.7 %
0.2 % 0.4 %
0.05 % 0.1 %

私の実績だと、国内ユーザーのクリック率は比較的高いです。ユーザーがメインが国内であれば、クリック率は 1% 以上の高い数字を設定しても問題ないかと思います。欧米ユーザーはその半分ほどです。


【8】 クリック単価

1 クリックあたり単価。個人や小規模企業が一般的に契約するアドネットワークでは 1 〜 9 円程度が相場か。国内は比較的高い単価を期待できる。海外のネットワークは為替相場も影響。アドネットワークでデータ確認可能。

・9 円
・7 円
4 円 5.5 円
2 円 3 円
・1 円

やはり日本国内は高く、国内ユーザーメインであれば、7 円以上は期待できます。海外でも上昇傾向なので、平均的に高く修正しました。


【9】 日数

1 か月の日数。例えば 10 日間分だけ計算したい場合は数値を指定する。



月間収入予測  

中間結果

アクティブインストール数   =【1】ダウンロード数 × 【2】アクティブインストール率
アクティブユーザー数   =アクティブインストール数 × 【3】アクティブユーザー率
1日あたりの利用ユーザー数   =アクティブユーザー数 × 【4】1日あたりの平均利用率
1日あたりのリクエスト総数   =1日あたりの利用ユーザー数 × 【5】1利用あたりのリクエスト回数
1日あたりのインプレッション総数   =1日あたりのリクエスト総数 × 【6】広告表示率
1日あたりのクリック数   =1日あたりのインプレッション総数 × 【7】クリック率
1日あたりの収入   =1日あたりのクリック数 × 【8】クリック単価
月間リクエスト総数   =1日あたりのリクエスト総数 × 【9】日数
月間インプレッション総数   =1日あたりのインプレッション総数 × 【9】日数

■ 結論

広告収入は、掛け算で決まります。そのため、単に「ダウンロード数が多い」というだけでは広告収入は増えません。
頻繁に起動してもらえるアプリを作ったり、滞留時間を延ばしたり、広告を各画面に表示したり、ユーザー数の多い地域に強いアドネットワークを使ったりして工夫することで、広告収入は増えるはずです。


注:
「ここはおかしい!」という部分があったら、ぜひコメントをお願いします。
また、このシミュレータを使用したことによる結果には責任を持てませんので、参考までに使ってください。


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追記:
直前に「モバイルアプリ広告収入シミュレータ」という同内容のエントリを投稿しましたが、JavaScript が無効だったので書き直してあります(2011/3/2)。