企業では、社内の情報共有や保存にファイルサーバーを使っているところが多いと思います。最近は自社で機器や管理者を持たず、クラウド上のサーバーの利用も進んでいます。知り合いから頼まれ、企業で使えるクラウド型ファイルサーバーを調べてみました。要件としては、(1)社員がファイルを置いて共有をできる機能、(2)社外の取引先が FTP で接続できる機能を持つ、あたりです。

まず日本企業が提供しているサービスを検索してみると、容量が 500 GB 程度で月数万円〜十数万円程度のところが多いようです。やはり知名度のある大手企業の価格は高くなっています。中小企業が使うとしたら、この値段は結構な負担になるでしょう。

次に、海外のサーバーを探してみました。ビジネス利用に耐えられそうなサービスであっても、驚くほど安い値段で提供しているところがあります。以下は候補になった 3 つです。

◆ egnyte
http://www.egnyte.com/

・容量と値段
月 25 米ドルで 150 GB (パワーユーザーは 5 人まで)
月 50 米ドルで 1 TB (パワーユーザーは 10 人まで)
※ パワーユーザーとは、自動バックアップ用ソフトなどが使えるユーザーです。

・特徴的な機能
FTP アクセス、ローカルファイルの自動バックアップ


◆ Nomadesk
http://www.nomadesk.com/
http://www.nomadesk.jp/ (最近日本の代理店ができたようです)

・容量と値段
月 35 米ドルで無制限(!)。ただしフェアユース規定あり

・特徴的な機能
同期機能


◆ Box.net
http://www.box.net/

・容量と値段
1 人月 15 米ドルで 500GB (3 人以上のプラン)

・特徴的な機能
Web 上でのタスク管理やコメント追加など


このように、海外のサービスでは数百 GB 〜 数 TB が月数千円程度で提供されているようです(Nomadesk の容量無制限は驚きです)。もちろん機能に多少の差はあるのですが、日本企業の 10 分の 1 程度の値段です。国内にサーバーを配置すると、土地代や電気代などでコストがかかるのかもしれません。日本企業のサービスを使うメリットは、「日本語が使える」ことでしょう。逆に言うと、それだと海外に出たら勝負にならないのではないでしょうか。インターネットサービスは国境が無関係なはずですが、日本語という壁のおかげで商売が成り立っているわけです。

ただ、企業向けサービスは容量だけで勝負が決まるわけではありません。日本は光回線が普及しているため、大量のデータ転送が可能です。社内の各ユーザーのパソコンのデータを常時クラウドにバックアップ(同期)するといったことも難なくできるでしょう。例えば震災などで東京のオフィスが使えなくなったとき、社員を別の場所に移動させ、クラウド上のバックアップを使って業務を継続することも可能なはずです。日本企業はクラウドの容量という点では勝負が難しいので、例えば光回線というインフラをうまく使い、海外企業と差別化する必要があるのではないか、と感じました。