(まだ考えがまとまっていない部分もあるのでメモ書き程度。)

翻訳者とその状況の変化、翻訳教育、新しい仕事についてです。基本的にIT分野(L10N)の翻訳に関する内容です。

【状況の変化】
A. 少量を短期で、という翻訳仕事が増えている。
 ・ソフトウェアL10Nの場合、従来のウォーターフォール型開発からアジャイル型開発に変化したのが1つの理由。
 ・中心的なメディアが紙から電子になりつつある。マニュアル一冊ではなく、ウェブサイトの一部分だけを翻訳するような案件が発生する。

B. 何とか商品レベルに達する翻訳をできる人が増えた。
 ・インターネットを使った調査ができるため。
 ・翻訳支援ツールや電子辞書で訳文や訳語を簡単に入手できるため。

【変化の結果】
・翻訳者という肩書ではあるが、従来イメージされるような「翻訳者」とは違う人がかなり増えた(従来イメージされるというのは、書籍の翻訳者みたいな人)。
・翻訳だけやっていればよいという仕事は無くなりはしないが、増えた「翻訳者」と比べたら少ない。それは市場競争を通じた単価下落などで表面化している。
・少量を短期でこなす場合、従来の在宅型は向いていない。

【そのため今後は…】
従来からあったような在宅の「専業」も今後もあり続けるが、「兼業」を前提にした方がよいのではないか。翻訳者兼プログラマー、翻訳者兼デザイナー、翻訳者兼プロジェクトマネージャーなど。
つまり「職業としての翻訳」に加え「スキルとしての翻訳」という枠組みを認識する必要がある。

【翻訳教育の方向】
上記の状況変化に関する仮定が正しいとするなら…

・現在、翻訳学校は、翻訳者として自立できる人(つまり、専業翻訳者=職業としての翻訳)をターゲットにしている。これは続ければよい。
・しかしスキルとしての翻訳が必要となるなら、兼業者をターゲットにしたコースを考えるべきだ。例えばプログラマーやデザイナーが翻訳を学べるようにする。

【翻訳者の新しい仕事】
・兼業が増えるのは、上記の通り「専業を雇う余裕がないから」などの消極的な理由がある。しかし兼業によって、兼業先分野で新しい仕事が生まれる可能性がある。
・例えば翻訳は「誰かが書いた後で訳す」という”川下”の仕事のイメージがあるが、兼業することで”川上”でも仕事ができる。例えばソフトウェア分野であれば、「多言語・多文化向けアプリの企画や設計」「外国語でのインターフェイスやヘルプのライティング」など。
・翻訳者には外国語能力に加え、異文化コミュニケーション能力も期待できる(はず)。いわゆるグローバル化の時代には有用な能力で、兼業先分野で新しい価値を生み出す可能性がある。専業だとこれは難しい。

まとめると、「翻訳スキルを持つ人(兼業翻訳者)は、製品やサービスの開発プロセス全体で、新しい価値を生み出す」のではないかということです。そのためには翻訳を「職業」ではなく「スキル」として捉える視点が必要です。