世の中にはさまざまな言葉を学ぶのが好きな人がいて、私も高校生くらいから語学学習書が存在する程度にメジャーな言語はいくつか(ドイツ語、フランス語、スペイン語、韓国語、中国語あたり)かじってきたのですが、結局今も仕事で使えているのは英語だけです。
やはりいくつもの言葉を浅く広く学んで仕事で使おうとしても、なかなか生かす機会はありません。

ところがソフトウェア開発の場面では生きることがあるのではないかという印象を最近持っています。もちろんここではプログラミング言語ではなく自然言語です。
スマートフォン・アプリやウェブ・アプリケーションは、マーケットやインターネットの普及のおかげで、多言語化して世界の人に使ってもらえるようになっています。
その際、翻訳自体はプロに任せるにしても、アプリをあらかじめ「多言語対応可能な状態にプログラムしておく」ことが必要になります。いわゆるインターナショナリゼーション(国際化、I18N)です。

インターナショナリゼーションでは技術的な知識はもちろん、意外にも言語や文化に関する知識が求められます。
例えばUIでメッセージを書く際、言語構造が違う言葉に翻訳されることを考慮しなければなりません。ショッピング・アプリでカート内の商品数を表示するメッセージを、日本語で「カートに◯個の商品があります」と書いたとします。◯に商品数が入ります。これを英語にした場合、商品が1個なら「You have 1 item in your cart.」ですが、2個以上なら「You have 2 items in your cart.」となります。英語では名詞の複数形があるため、itemとitemsに場合分けが必要になります。「item(s)」といった書き方もできますが、あまりきれいではありません。さらに言語によっては複数の他に「双数」(2つの場合と3以上の場合で形が違う)なども存在し、「item(s)」みたいな逃げ方ができないこともあるでしょう。
他にも、例えば数字の小数点や桁区切りが言語によって異なることもあります。日本語や英語では「1,234,567.89」ですが、ドイツ語では「1.234.567,89」と逆になります。こういった違いを知らずにいると、アプリを多言語化した場合にユーザーに違和感を持たれてしまうわけです。

つまり、アプリを多言語化して世界各地で使ってもらえる機会が増えつつある現在、浅く広く複数の外国語を勉強しておくと、意外にもソフトウェア開発の場面で役立つのではないかと感じています。
語学オタクはプログラミング言語も習得し、ソフトウェア開発の道に入ってもいいかもしれません。
(20年前に高校生だった自分に教えてあげたい…)

以上です。