7月に翻訳品質評価に関する業界アンケートをJTFで実施しました。ご協力してくださった皆さま、ありがとうございました。

アンケートの結果がJTFのウェブサイト上に公開されました。こちらのJTFスタイルガイド委員会のページ、または以下のPDFのリンクから直接ご覧ください。

翻訳品質評価方法に関する業界アンケート結果報告
http://www.jtf.jp/jp/style_guide/pdf/2016JTF_TraslationQualitySurvey.pdf



品質評価に関する業界アンケートは初めてなので、興味深い発見はいくつもありました。
1つ挙げると「どのような方法で翻訳の品質を評価していますか」に対する回答です。以下の図のように「業界の手法」が11件に対して「会社独自の方法」が120件と、圧倒的に会社独自の手法が多くなっています。そもそも日本において「業界の手法」は確立していません。



もちろん会社独自の手法を使っていることが悪いわけではありません。会社独自の取り組みは他社との差別化要因となります。長年の改良と運用で実績のある独自手法も多いでしょう。
ただ、やはり業界の標準的な評価手法が確立すれば、業界全体のメリットは大きいという気はします。それを共通に参照することで、クライアントと翻訳会社との間(あるいは翻訳会社と翻訳者との間)で、品質に関する合意形成はしやすくなるでしょう。

業界標準的な評価手法には、また別の意義があると私は考えています。それは翻訳業界全体として新規クライアントを獲得しやすくなるはずだということです。
まったくプロ翻訳サービスを使ったことがない新規クライアントは、そもそもプロ翻訳でどう品質を評価しているのかを知りません。例えば新規クライアントが翻訳会社A、B、Cに引き合いを出し、各社が「うちはこうやって品質評価をしています」と回答したとします。しかし共通のものさしがない状態では、比較検討にも悩むでしょう。そういった場合に「共通のものさし」として業界標準的な評価手法があれば、比較が楽になります。もちろん最終的には会社独自の手法で評価して構いません。しかし業界標準とどこが異なるのかが分かれば、各社の独自性がはっきりします。新規クライアントは発注しやすくなるはずです。また業界全体として評価手法を持っているということで、業界そのものに対する信頼も向上するのではないでしょうか。
つまり、業界標準的な手法があれば、翻訳業界全体として新規クライアントを呼び込みやすくなるのではと考えています。特に昨今であれば、機械翻訳やクラウドソーシング翻訳と、プロ翻訳との違いを目立たせることもできるでしょう。

今後も業界の標準的な評価手法について探りたいと思います。