2020年3月に開催された言語処理学会の発表論文が公開されています。

 言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)
 https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2020/index.html

私もテーマセッション「翻訳とは何か? 何ではないか?」で、関西大学の山田さんと共著で1つ発表しました。PDFファイルを以下からダウンロードできます。

 翻訳品質と JTF 翻訳品質評価ガイドライン: 生産ベース評価の品質の考え方
 https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2020/pdf_dir/G1-1.pdf

基本的には機械翻訳の研究者向けなので、翻訳業界の方々はすでに知っている内容かもしれません。
簡単に言うと「翻訳とは、字面上のテキスト変換ではない。人間は、仕様や現実世界など、テキスト外部の要因も考慮して翻訳をしている。だから今後、そういった視点を機械翻訳研究に取り入れてはどうか?」という内容です。

一般社会では「翻訳=テキスト変換」だと考えている人は結構いますし、日常レベルではそれで十分なこともあります。ただし、最終読者に合うように翻訳したり、記述内容の正しさも判断しつつ翻訳したりするには、テキスト外部まで把握する必要があります。

現在の機械翻訳では、テキスト外部まで考慮した翻訳ができません。今後翻訳業界が生き残るには、一般社会の人にここを理解してもらう点が重要でしょう。単に機械翻訳のミスをあげつらうより、機械翻訳の発展や利点を認めた上で、「それでも人間にしかできない点と、それの何に価値があるのか」を社会に伝えた方が生産的だと考えます。