rnishino

IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

英語

16 5月

英文の難易度を測る(1)

リーディングの勉強をする場合など、英文の難易度をあらかじめ把握しておきたいときがあります。簡単すぎても難しすぎても、勉強にならないからです。

英文の難易度を測定できるサイトはいくつかあります。英文を入力し、そこで使われている「各単語の難易度」で計算する方法が一般的です。

◆ The Oxford Text Checker
http://oaadonline.oxfordlearnersdictionaries.com/oxford3000/oxford_3000_profiler.html

Oxford Advanced American Dictionary の難易度に基づいて測定できるサイトです。ページを開くと、以下のようなフォームが表示されます。
oxford1

どの単語リストを使うか、ボタンが3つ表示されています。
 ・Oxford 3000: 同辞書が重要と考える3000語
 ・Oxford 2,000 keywords: その3000語のうち、上位2000語
 ・Academic Word List: 英語圏の大学で遭遇するであろう単語の一覧
通常は「Oxford 3000」を選択すればよいのではないかと思います。

説明によると、
 ・Low intermediate(中級の下)レベルのテキストで、Oxford 3000のほぼ100%
 ・High intermediate(中級の上)レベルのテキストで、Oxford 3000の90〜95%
 ・Advanced(上級)レベルのテキストで、Oxford 3000の75〜90%
が含まれるようです。

例えば、適当なテキストを「Enter the text to check: 」テキストエリアに貼り付けてチェックを実行してみます(その下のテキストエリアは、除外する単語)。次のような結果画面が表示されます。
oxford2


赤下線部分に「89%」とあります。つまり、テキスト中の単語の89%はOxford 3000に含まれているということです。ですから難易度は、上級にぎりぎり入る程度と判断できるわけです。

画像の真ん中あたりに「Words not on the list」という部分があります。ここにはOxford 3000リストになかった単語が表示されています。比較的難しめの単語であると推測できるため、読む前にこのリストを見て知らない単語をチェックしておくと、スムーズにリーディングができるでしょう。


次回は別の難易度測定サイトを紹介します。
23 4月

スタンフォードの無料オンライン・コース「CS 101」講義開始

以前のブログ記事で紹介した、スタンフォード大学が無料で公開しているオンライン・コースの1つが4/23から始まりました。「CS 101」(コンピューター・サイエンス101)です。当初は2月開始予定だったので、随分と遅れていたようです。ちなみに今でも登録できます。

全コースはこちらのリンクから見られます(どちらも最終的なリンク先は同じ)。
 ・Class Central: http://www.class-central.com/
 ・Coursera: https://www.coursera.org/

以前はコンピューター関連など理工系の授業が多かったようですが、それ以外の分野も追加されるようです。人文科学系なら次のようなコースです。
 ・A History of the World since 1300
 ・Fantasy and Science Fiction: The Human Mind, Our Modern World
 ・Listening to World Music
歴史、文学、音楽とさまざまです。社会科学系では例えばこれらです。
 ・Game Theory
 ・Introduction to Finance


◆ 受講の様子

上記のとおり「CS 101」を始めたので、その様子を書いてみます。

登録してログインすると、左側のメニューに、
 ・Home (ホーム画面)
 ・Lectures (講義一覧)
 ・Exercises (課題一覧)
 ・Discussion Forums (掲示板)
 ・Course Howto (受講方法)
などの項目が表示されます。次の画面は、「Lectures」をクリックしたところです。
1_lectures


CS 101では、講義を受けて課題を提出するのが基本的な流れになるそうです。講義ビデオはこんな具合です。
2_lecture

左側が講義の資料で、右下に映っている人が講師です。中央下の「Toggle」ボタンをクリックすると、講義ビデオの再生を一時停止し、資料を読むこともできます。

講義の途中でビデオの再生が自動的に止まり、練習問題が出ることがあります。気を抜けません。
3_exercise


講義を見終わったら、「Exercise」メニューから課題を解いて提出します。

また、英語の聞き取りに自信がない場合、講師の話している内容をテキストとしてダウンロードできます。
4_subtitle-text


単に講義を録画して公開しているわけではなく、このオンライン・コース専用に作られているので、非常に使いやすくなっています。これが無料だとは信じられません。

また、「Discussion Forums」を覗いてみたところ、「Study Groups」という掲示板がありました。どうやら学生の自主勉強会ができているようです。地域別のグループが多く、中でもアジアからの受講者が目立つという印象です。
5_studygroup

無料かつインターネット経由であるため、世界各国から受講者が集まるのでしょう。

「留学したいけど、授業はどんな感じなんだろう…」と思っている人は、まずこういったオンライン・コースを受けてみるのもいいかもしれません。

以上です。
4 11月

テクノロジー系の Podcast で英語を聞く

私はテクノロジー関係の Podcast をよく聞いています。専ら情報収集ですが、英語リスニング力を維持するという目的もあります。

TOEIC 受験にリスニングの練習をしているが、いまいち興味が持てないと嘆いているエンジニアの方々は、テクノロジー関連の Podcast を試してみたらいかがでしょうか。いきなりニュースじゃ難しいという方は、初出から一週間くらい寝かせてから聞くと、背景知識がすでに分かっているので理解しやすいかもしれません。

私がよく聞いているのはこれら 4 つです。どれも 30 分前後くらいの長さで、週 1 回更新です。
ちなみに、iTunes を起動しなくても Web 上でも試しに聞けます。

・New York TImes の Tech Talk
http://www.nytimes.com/ref/technology/techtalk.html

IT ニュースと背景の解説。司会者の掛け合い漫才的なトークもある。


・NPR の Technology Podcast
http://www.npr.org/rss/podcast/podcast_detail.php?siteId=4819382

IT 関連ニュースについて真面目な解説が多い。


・PRI The World の Technology Podcast
http://www.world-science.org/category/technology_podcast/

IT だけではなく、さまざまな技術関連の話題を扱っている。自分の専門外の話だとよく分からないかもしれない。


・Wired の Storyboard
http://itunes.apple.com/podcast/wired-storyboard-audio-podcast/id329499352

こちらも IT だけではなく、恐竜やウィスキーなどさまざまな科学や技術の話題を取り上げている。インタビューが多い。


IT エンジニアであれば、最初の 2 つのどちらかがよいかもしれません。
15 9月

exit の50年史

IT 分野の英文を読んでいると、exit という英単語は「プログラムやアプリケーションを終了する」という意味で、目的語を取る「他動詞」として扱われるケースがほとんどという印象があります。例えば「To exit this program, click the [X] button.」といった説明文です。

2003 年刊(恐らく)の『研究社 新英和中辞典』で調べると、「自動詞」であるという説明があります。IT 分野の用法に関する説明はありません。しかし、最新の単語が掲載される『英辞郎』では自動詞と他動詞の両方が載っています。「《コ》」というのはコンピュータのことなので、IT 分野での用法を示しています。

また、専門的な用語解説でも違います。 1994 年に発行された『コンピュータ英語動詞使い分け辞典』を読むと、自動詞の用例しかありません。逆に 2006 年に発行された『科学技術英語 動詞はこう使え!』では、他動詞の用例しかありません。

つまり時代によって説明に差があり、やや古い辞書や書籍だと「自動詞」扱い、新しくなると「他動詞」としての用法が加わって来ているように思えます。ただ、これは私の印象なので、何の証拠もありません。そこで以前ブログで紹介した「Google Books NGram Viewer」を使ってみることにしました。

exit from the program」(自動詞)と「exit the program」(他動詞)を比較した結果がこれです。1950 年から 2008 年までにおける書籍上の登場頻度を比較しています。

exit


自動詞としての用法(青線)は 1960 年頃から見られ始め、徐々に増えていき、1985 年過ぎた辺りから減少に転じています。他動詞としての用法(赤線)は 1980 年頃から急激に増え始め、1 〜 2 年程度で自動詞の用法を一気に抜き去っています。

要するに、IT 分野における exit という英単語は、1980 年代に自動詞から他動詞に変わったと言えるほどです。そう考えると、上記の辞書や書籍の記述の違いも理解できます。言葉は生き物であることは理解していましたが、これほど劇的に語法が変わるケースも珍しいのではないでしょうか。

ちなみに program を application に置き換えても同じような傾向が見られます(program ほど明らかではありませんが)。
19 7月

英語の勉強を始める前に考えておきたいこと

私は英語関連の仕事にしているためか、知人や友人から英語の勉強方法を聞かれることがあります。

これが非常に答えにくいのです。
現在持っている「英語力」に個人差はありますし、そもそもなぜ英語を勉強するのか動機がよく分からない場合もあります。
例えば「旅行できる程度の英会話」や「日常会話」と漠然といっても、その中身はさまざまです。英語がほとんどできなくても身振り手振りで買い物することはできますし、逆に「旅行先の酒場で酔っ払った現地人と楽しく会話する」といったことをしたければ、ある程度の英語力(と文化理解)が必要です。

まず、なぜ英語を勉強するのか、その動機を明確にしておいた方がよいのではと思います。例えば国際的なビジネスパーソンになりたい、あるいは通訳者になりたいなどです。
就職を控えた学生や社会人であれば、英語は「手段」である場合がほとんどでしょう。語学の学習には相当の時間とお金が必要です。手段であるならば、漫然とではなく、効率的に身に付けたいものです。逆に手段ではなく、「目的」である(語学学習自体が楽しい、趣味であるなど)ならば、効率は考える必要はないかと思います。


もし手段として英語を勉強するのであれば、「PDCA サイクル」のような考え方で、学習プロセスを意識してはどうかと思います。リンク先から引用すると、PDCA サイクルとは次のようなものです。
典型的なマネジメントサイクルの1つで、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)のプロセスを順に実施する。最後のactではcheckの結果から、最初のplanの内容を継続(定着)・修正・破棄のいずれかにして、次回のplanに結び付ける。このらせん状のプロセスを繰り返すことによって、品質の維持・向上および継続的な業務改善活動を推進するマネジメント手法がPDCAサイクルである。

要するに、「目標を立てて実行し、その結果を評価して目標を再検討しましょう」ということです。


◆ Plan
まず Plan です。ここでは「目標を定める」ことになります。
ここで重要なのは、そもそもの英語学習の理由や動機を明確にしておくことかと思います。国際的なビジネスパーソンになりたいからとか、通訳者になりたいからとかです。最終的には(長期的には)これが目標になるはずですが、現実的には達成したかどうか測定しやすい短期的な目標を設定することになるかと思います。
つまり、短期的な目標のサイクルを繰り返しつつ、最終的な目標を目指すということでしょうか。

目標は、ある程度具体的でなければ、達成したかどうかの評価ができません。例えば「旅行に行っても困らない程度の英会話」では曖昧です。「この旅行英会話本の例文を 50 個暗記する」であれば、達成したかどうかが評価できます。このような具体的な目標の方が望ましいのではないかと思います。

測定可能という点で、英語の検定やテストは便利に使えるかと思います。例えば英検なら「級」を取れたか取れないかで判断できますし、TOEIC なら点数で測定できます。
ただし注意したいのは「検定やテストが知らないうちに自己目的化してしまう」ことでしょうか。例えば TOEIC 680 点が取れたら、次は 700 点を取ってみたくなります。ゲームのスコアと同じで、それ自体は達成感があることは確かですが、ゲームにはまると大きな目標を見失うことになります。

英語の検定やテストはいくつかありますが、有名なのは以下でしょうか。

・実用英語検定(英検)
1 〜 5 級まであり、結果は合格か不合格で出る。ただし、級によっては不合格でも「不合格 A」などと出るため、どの程度足りなかったのかが分かる。4、5 級はペーパーテストのみだが、1 〜 3 級まで面接の二次試験がある。
年 3 回実施されている。

・TOEIC
結果は 990 点までの 5 点刻みで、合格か不合格かではない。860 点以上ならレベル A、730 〜 855 点まではレベル B などという評価も出る。TOEIC はリーディングとリスニングのみであるが、「TOEIC SW」というテストでスピーキングとライティングをテストする。
年間 10 回ほど実施されている。

・TOEFL
英語圏への留学生向けのテストで、大学生活に必要な英語が出題される。コンピュータを使ったテストであれば 0 〜 120 点で出る。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングがすべてテストされる。
月に数回実施されるが、予約が埋まっていることもある。(あと少し高い…)

一般的にはこの辺りですが、専門的なテストもあります。例えば技術英語に関する「工業英検」です。自分の最終目標から見て妥当だと思えば、こういった専門英語のテストを使えばよいと思います。

またテスト以外でも、上で挙げた「例文 50 個暗記」や、「英会話教室の中級クラス修了」などを目標にしてもよいでしょう。いずれにせよ、達成できたかどうか評価できる目標を立てることが必要かと思います。


◆ Do
次は Do、つまり実際に勉強する段階です。
この方法は各人の目標によって異なります。例えば TOEIC の点数が目標なら対策本をやる、あるいは例文暗記が目標ならカードを作って地道に覚える、でしょうか。


◆ Check
続いて Check、評価や確認です。
TOEIC の点数を目標にしたのであれば目標の点数に到達したのか、例文暗記が目標ならきちんと覚えられたのか、評価します。


◆ Act
最後に Act、改善です。
目標を達成できたのか、できなかったら何が悪かったのか、そもそも目標が妥当だったのか、などを見直して目標を再設定します。また新たな PDCA サイクルが始まるわけです。

再度目標を立てる場合も、英語を学習するそもそもの動機や理由を忘れないようにしましょう。例えば今回 TOEIC 600 点だったので次は 650 点と単純に設定するのではなく、「自分は国際的なビジネスパーソンになりたい、そのために英語で交渉できる力が必要だ、だから次は交渉英語を勉強できる講座を修了しよう」といったように、常に原点に立ち返りつつ目標を再設定することが必要ではないかと思います。

また、サイクルの「粒度」も適切に設定しましょう。
例えばテストの点数を目標にした場合、評価(Check)はテストの点数で行います。しかし、例えば「テスト対策本の第 3 章の練習問題で 80% 以上正解する」といったような、さらに粒度の細かいサイクルも考えられます。サイクルは「入れ子」にできます。


 ◆ ◆ ◆

以上、英語の勉強を始める前に考えておいた方がよい思うことについて書きました。
私が強調しておきたいのは、「英語を学習する理由や動機は忘れずにしておく」という点です。英語の勉強はだらだらと続けてしまったり、半ばゲームのようにスコアを追ってしまったりすることがあります。学習それ自体が趣味で「目的」なら構いませんが、「手段」とするなら、明確な目標を立てて効果を測ることが望ましいのではないかと思います。

筆者について
西野 竜太郎
(Ryutaro Nishino)

翻訳者。合同会社グローバリゼーションデザイン研究所・代表社員。日本翻訳連盟・理事。
プロフィールや連絡先などについては会社のウェブサイトをご覧ください。
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著書
ソフトウェア・グローバリゼーション入門:I18NとL10Nを理解する
『ソフトウェア・グローバリゼーション入門』


アプリケーションをつくる英語
紙版
『アプリケーションをつくる英語』

電子版
『アプリケーションをつくる英語』
第4回ブクログ大賞受賞】