IT翻訳者Blog

翻訳、英語、ローカリゼーション、インターナショナリゼーションなどについて書いています。

カテゴリ: その他

住んでいる自治体からワクチン接種券が早い時期に届いており、65歳未満でも自衛隊の大規模接種会場で予約が可能になったため、早速予約した。

予約サイトはパッと見だとあまり洗練された印象は受けなかった。しかも架空番号で予約できてしまうニュースも聞いていたので、正直なところ会場も混乱するのではという不安はあった。



そして接種当日の今日、大手町に向かった。会場の入口はこんな感じで、大規模接種と言っても、密にならないように配慮されていた。



受付を済ませると、予診票などを入れた黄色いクリアフォルダーを渡された。

「黄色の方はこちらです」と言われて気づいたが、どうも4色あるようだ。そして色ごとにビルの違う階に案内される。

「これは、CPUで言うところのクアッドコアでは…」と思った。

色付きのクリアフォルダーであれば、遠くから係員も視認しやすい。色の一部が見えていればよいからだ。「A」や「B」などの文字を書いていたらいちいち止まって確認して案内しないといけないので、そこでボトルネックが発生してしまう。

それから当日は妻と一緒に行ったのだが、「お二人ですか?」と聞かれ、同じ色のフォルダーを渡してもらえた。夫婦で来ている年配の方々も目立つ印象だった。

会場では至るところに係員が立っていて誘導してくれる。コミケに行ったことのある人なら分かってもらえるかもしれないが、「密じゃないコミケ会場」といった感じだ。エレベーターも各色専用となっており、出入りで人がかち合うこともない。

黄色用の階に到着すると、予診票確認、接種と進んでいく。どちらのブースもかなりの数が用意されていた(私は予診票確認で7番に案内されたので、それ以上の数)。

「これは、さらにマルチスレッドになっていたか…」と思った。

接種が終わると、体調を見るために15分待機した。その際、待機時間中に2回目の予約も取ってもらえた。ここまでずっと夫婦一緒に回ってきているので、スケジュールも一緒に調整できる。ともかく効率優先の流れ作業ではなく、そういう部分の気遣いがあるので非常にありがたかった。

2回目の予約手続きには数分かかったが、それも待機時間に含まれるので、最終的には10分ちょっと待機した。これが「予約→待機」ではなく「待機→予約」だったら、丸々15分待つことになってしまうし、会場に人が滞留することにもなる。細かい部分だがきっちり考えられている。

「これは、いわゆるプリフェッチでは…」と感じた。

帰りのエレベーターも各階専用で、密にならないように人数を制限した上でのピストン輸送だった。結局、建物を出るまで密になった状況は一度もなかったし、どこかで長く待たされたという状況もなかった。



当初、予約サイトを使った時点では不安があった。しかし会場内ではうまく導線を組んでボトルネックが排除され、高度な「アナログ並列処理」(あるいは並行処理)みたいなものが実現されていた。しかも単に機械的で冷たい流れ作業でもなく、担当者は親切だった。

批判も受けている大規模接種会場ではあるが、実際のオペレーションはとても素晴らしかったと伝えておきたい。

(※ なお上記のコンピューター関連の比喩の正確性や妥当性は保証できません)

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追記(2021-06-19 10:30)

ワクチンで副反応が出る可能性があるため、15分は会場で待機することになっている。そのときは問題なかったが、しばらく経って副反応が出てきた。
モデルナ製を接種した私の場合、5〜6時間後に二日酔いに似た頭痛と倦怠感を覚え、自宅のベッドでしばらく寝ていた。さらに注射した腕の周囲で筋肉痛のような痛みが続き、1日経ってもまだ痛い。

あと、会場から帰宅する際にフジテレビのインタビュー受けていた。今朝の「めざましどようび」で「墨田区民(40代)」として出演している。何年か前にポケモンGOが大ブームになった際も情報番組のインタビューを受けたが、東京にいるとたまにこんなことがある。


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自分の会社を始めました。

合同会社 グローバリゼーションデザイン研究所
http://globalization.co.jp/

gdi

当面社員は自分1人だけですし、個人事業のときと急に大きく変わらないかもしれません。
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私が高校生の頃には国語の教科書に、中島敦の「山月記」という小説が載っていました。青空文庫版はこちらです。

先日20年ぶりくらいに再読しました。実に面白かった。高校生当時は「人が虎になる」という表面のファンタジー的な部分しか読んでなかったのですが、大人になった今読むと主人公の気持ちも実感を伴って分かるわけです。

あらすじはこうです。
+++++
唐の李徴(りちょう)は、自分の才能に自信を持っており、つまらない上司や同僚がいる役人組織を辞め、詩作で名を残そうとした。しかし現実は厳しく、食べるのにも困るようになったため役人に戻るものの、かつて見下していた同僚はすでに出世していた。自尊心は大いに傷つき、発狂して行方不明になった。

ある日の夜、現在は高官でかつて李徴と仲の良かった袁傪(えんさん)が道を通ると、人食い虎が現れる。声からその虎は李徴であると分かった。李徴は草むらに姿を隠しつつも、昔話に花を咲かせる。袁傪はなぜ李徴が虎になったのか問う。李徴は、自分に本当は才能がないことが明らかになるのを恐れ、他人と切磋琢磨することをしなかった。一方で才能を信じていたので、臆病な自尊心は肥え太り、外面まで醜い虎に変えてしまったのだと言う。

朝になって二人は別れ、袁傪が丘の上から振り返ると、虎が姿を現して吠えた後、また草むらに消えていった。
+++++

一つ印象的な部分を引用してみます。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html


現代でも、李徴のようなケースはありそうです。例えば、

 アホな上司のいる会社なんて辞めて独立してやる(フリーランスになってやる)!
  ↓
 実力があると思っていのになかった。しかも食えない。
  ↓
 組織に戻って末端の社員になるが、自尊心は大いに傷つく。


「山月記」から何かしらの教訓を得ることもできそうですが、教訓云々というより、働く人なら一度は持ちそうな感情を描写していて、今読んで興味深いと思った次第です。
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フリーランスなので、名刺は自分で用意しています。
今までは自宅のプリンタで印刷していたのですが、少し厚い用紙を使おうとするとプリンタに詰まるので困っていました。
さらに、やはりプリンタだと名刺は安っぽく見えてしまうため、自分の仕事まで安っぽく見られたら嫌だなと思い、名刺作成サービスを使ってみることに。

今回は自分のデザインを印刷でき、かつ紙の種類が豊富な「プリスタ」に注文しました。
http://www.printsta.jp/

紙は「プレミアム」プランの「エスプリVエンボス」を選びました。表面にちょっとした凹凸の装飾があります。
それで出来上がりはこんな感じです。
bizcard_01

かなり近寄ってみると、エンボス部分はこんな具合です。実際にはもっと光沢がある印象です。
bizcard_02

自宅のプリンタではこんな風には作れないので、仕上がりには満足です。
「プレミアム」プランは表カラー、裏モノクロで1,200円。それに送料が630円だったので1,830円でした。私はデータにAdobe Illustratorを使いましたが、MS Officeだと525円プラスのようです。
2,000円程度で作れるなら、苦労しながら自分でプリンタで作るより低コストかもしれません。

最近はフリーランスはもちろん、会社員でも勉強会などで個人的に活動する人が多いようですので、そういった機会に利用してみたらいかがでしょうか。
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スタンフォード大学が無料で提供しているオンライン講座をいくつか受けています。この間「Computer Science 101」というクラスが終了しました。ビデオ講義と小テスト(クイズ)による方法で、なかなかうまくできているなと感じでした。

ところが、先週からスタートした「Human-Computer Interaction」がすごい。これは自分でソフトウェアの画面やインターフェイスをデザインするという授業なので、どうしても実技が入ってきます。ですから択一のクイズ形式による評価は難しい。そこで、この授業では学生同士の相互評価という形を取っています。スタンフォードの無料オンライン講座では初めての試みのようです。こういった相互評価が必要なのは、講座によっては25,000人以上が受講するからです。とても講師が採点するわけにはいきません。

学生は課題を提出すると、相互評価をする前に「採点の仕方」の訓練を受けます。サンプル課題が提示され、点数を付けてみるのです。すると、この解答にはもっと高い(あるいは低い)点数を付けよ、というフィードバックが表示されます。こういった「サンプルに対する点数付け」という訓練を何度か受けたあと、実際に相互評価を行います。流れはこうです:

自分の作成した課題提出

サンプル課題を使い、採点方法を訓練

5人の学生の課題を評価

自分の課題を自己評価

自分の課題の点数が見られる

私も訓練を受けてから5人分の採点をしてみました。最初は「なんだこりゃ?」という印象だったのですが、一方向的に「講師に採点をしてもらう」という方法にはない良さがあるように思いました。私の提出した課題も、恐らく5人くらいの学生に評価してもらえるのでしょう。スキーのジャンプの採点のように、極端な採点はカットされるのかもしれません(仕組みはまだ不明ですが)。

この初の試みがうまく行くのかどうか楽しみです。もし一定の効果があるのなら、1人の講師で25,000人超を一気に教育できる(しかも実技)わけで、非常に革新的です。もし将来、こういった無料大規模オンライン学習の手法が確立されるのなら、現在の学校は何で差別化できるのでしょうか。
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