※2011年2月の記事です。情報が古くなっている可能性があるのでご注意ください。

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先週リリースされた有償版の「英辞郎 on the WEB Pro」を使ってみました。初月は無料で試用できるようです。

数日間ですが、使ってみた感想を書いてみます。

◆ 良い点

(1)広告がないのですっきり

やはりぱっと見ですっきりです。広告が消えた部分に、「検索履歴」や「単語帳登録履歴」が表示されています。

【無償版】
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【有償版】
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(2)さまざまな検索方法

いままで複雑な検索演算子を書かなければならなかったのですが、「条件を詳細に指定して検索」というオプションができた(左の赤枠)ので、手軽に詳細な検索ができます。
また、ベータ版だった「整列・頻度集計」(右の赤枠)が組み込まれています。

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(3)各単語に対する操作オプション

検索した単語を単語帳に登録したり(左の赤丸)、さらに別の検索を行ったり(右の赤丸)できます。

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◆ 悪い点

有償版になれば大抵は良い点が増えるので、「有償版なのに足りない」といったような感想です。
有償版に足りないというより、むしろ英辞郎そのものに足りない点でしょうか。


(1)辞書としての基本部分が抜けていることがある

英辞郎は収録単語数は申し分ないのですが、「質」の面で疑問が呈されることがあります。

例えば、上の写真にも載っている「business」という単語があります。英辞郎で検索してみると、名詞であることは載っていますが、可算か不可算かは載っていません。Yahoo の新グローバル英和辞典で検索してみると、ちゃんと可算(C)か不可算(U)かが載っています。
business を可算名詞で使う場合、「ビジネス」といった抽象的な概念ではなく、1 社 2 社と数えられる「会社」や「企業」の意味になります。business という単語は基本的で誰でも知っていますが、こういった重要な情報が抜けているのは困ります。


(2)音声が出ない

英辞郎には発音記号が書かれていますが、音声が出ません。上記の Yahoo の辞書では「発音を聞く」というリンクがあり、実際に音を聞けます。
紙ではなく、せっかくパソコンで使うのですから、音声くらいは欲しいものです。特に学習者には必要でしょう。


(3)例文の質がやや疑問

英辞郎の例文は、日本人向けの英字新聞や、英語で日本を紹介する書籍から持ってきたものが目に付きます。日本語を直訳したような英語も多く、英語の例文としては少々変ではないかと思うことがあります。
「整列・頻度集計」でもこのデータを基にしているため、果たしてどの程度信頼していいのか、私個人は疑問に思いつつ使っています。


結局のところ、上記 3 点を解決するには別の辞書を引かなければならないということになります。
写真の 1 つにもあるように、「Wikipedia で検索」などのオプションがあります。それができるなら、外部辞書にリンクさせたらどうなのでしょうか?「『英辞郎 on the WEB』なのだから英辞郎だけ」というのであれば、ユーザーの利便性は向上しないでしょう。


◆ 結論

上記の「良い点」に月 315 円払えるというのであれば、買ってもよいかと思います。
実際 315 円というのはコーヒー 1 杯程度なので、絶対的な価格としては高くないと感じます。ただし、辞書データ自体は無償版と変わらない点や、タダで使える Yahoo 辞書などと比べたら足りない部分はあるという点を考えると、相対的な価格としては安くはないかもしれません。

私は仕事柄 1 日数百回くらいは辞書を引くので、恐らくこのまま継続購入します。1 日数回程度の利用であれば、無償版でも困らないのではないかと思います。