今日の記事「いよいよ“スマホ戦国時代”の勢力図が変わり始めた!市場トレンドが示唆する「10年後に笑う勝ち組」の条件」にあるように、国内スマートフォン OS の数は、すでに Android OS が iOS(iPhone の OS)を抜いています。

…一番売れている端末はiOSを搭載したiPhoneだが、iOSはiPhoneシリーズのみに対し、Android OSは各メーカー、各キャリアから様々な機種が登場しているため、これらを合計するとAndroid OSが優位に立つと言うわけだ。


アプリケーションを開発する側は、Android 用を作れば市場が大きいので有利ではないかと考えるはずです。ところが現実にはなかなかうまく行きません。引用部分にあるように、さまざまなデバイスが存在するため、アプリをどのデバイスでも利用可能にするには、コストが伴います。

下の画像は、Android Market 上の設定画面です。開発者が見られる画面で、アプリのダウンロードを許可するデバイスを手動で設定できるようになっています。もちろん OS のバージョンなどである程度は自動的にできるのですが、例えばユーザーから「私はこのデバイスを使っているが、動かない」という報告があった場合、そのデバイスを対象から除外(exclude)するわけです。

androidmarket_device_availability


しかし、動作しないのは単にそのユーザー固有の問題かもしれないので、本当にそうなのか確認が必要でしょう。確認のコストがかかりますし、もし本当に動かないのであればダウンロード可能対象から除外することになります。当然、市場は狭くなってしまいます。

つまり、Android 端末は台数が出ているのでアプリ市場全体としては大きいですが、現実には市場は細分化されているということです。Android 用デバイスは比較的自由に開発できますが、それにアプリ側で対応するためにはコストが必要になるわけです。ちなみに上の写真で除外可能な端末の数は、何と 600 以上もあります(私のアプリのケース)。

デバイス種類が増えるごとに大きくなるコストは、Android エコシステムの成長にとって脅威になるのではないかと感じます。例えばアプリ開発企業は、高い処理能力や特殊な部品が必要なアプリの開発に躊躇するかもしれません。非対応のデバイスを使っているユーザーから不満が出ることも考えられるからです。この結果、ユーザー体験の質は低下してもおかしくありません。

こういったコストは、比較的自由な Android で不可避の代償なのでしょうか。


【追記】
今日はこういう記事も別にありました。

 Android端末の“短命ぶり”が一目瞭然のインフォグラフィック

「巨大化し過ぎて、自分の体重で潰れる」という表現がありますが、そんな印象を受けてしまいます。

【さらに追記】
また同日の記事です。Android のフラグメンテーションは、OS のバージョンや多様なデバイスではなく、Android Market とは分断されている Kindle Fire によって引き起こされるだろうという主張です。

 Android fragmentation? It's Amazon, not handsets, that's the problem