翻訳会社Moraviaのブログ記事で、ほとんどの翻訳者が翻訳関連の大学院学位(修士号など)を持っているという話を聞き、非常に驚きました。自分の知り合いにも翻訳修士号を持っている人はいるものの、恐らく1割未満でしょう。

個人的には翻訳者になるのに翻訳修士号が必要だとは思えませんが、もしかしたらこの考え方は日本国内でのみしか通用しない「ガラパゴス」なのかもしれません。翻訳ビジネスは多言語と多文化を扱うという点でまさにグローバルで、自国の慣習が通用しないケースが多々あります。人材採用や取引決定に際し、何かしら外部の共通基準が必要となることがあるでしょう。そういった共通基準として翻訳修士号が使われてもおかしくありません。

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そこで、以前少し調べた翻訳関連のコースをいくつか紹介します。基本的に自分の専門である「ローカリゼーション」あるいは「IT翻訳」に関するプログラムです。

◆大学院(修士)

<アイルランド>
アイルランドはローカリゼーション産業が盛んで、ローカリゼーション中心のプログラムが多い。1年制のコースも多い。また授業料もアメリカあたりと比べると安い(EU出身の学生ならさらに安い)。

・Limerick University
http://www.ul.ie/graduateschool/course/multilingual-computing-and-localisation-msc (通学)
http://www.localisation.ie/education/ (オンライン)
ローカリゼーションに特化したプログラム。

・Dublin City University
http://www.dcu.ie/prospective/deginfo.php?classname=MTT

<アメリカ>
基本的に2年制かつ授業料も高くて泣ける。ローカリゼーションが中心のプログラムはそれほど多くない。

・Monterey Institute of International Studies
http://www.miis.edu/academics/programs/translationlocalization
ローカリゼーションも含め、翻訳や通訳のプログラムは非常に充実している。

・University of Denver
http://universitycollege.du.edu/ga/degree/masters/translation-studies-online/degreeid/436
通学コースと遠隔コースがある。修了証(certificate)プログラムもある。

・Kent State University
http://appling.kent.edu/graduate/ma/index.cfm


◆修了証

<アメリカ>
・University of Washington
http://www.pce.uw.edu/certificates/localization-software.html
通学コースとオンライン・コースがある。

・California State University, Chico
http://rce.csuchico.edu/localize/certification
オンライン学習+現地実習という形式。

<イギリス>
・Imperial College London
http://www3.imperial.ac.uk/cpd/courses/subject/other/localisation
オンライン。

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ちなみに、一般に翻訳修士号が取れる大学院としては、オーストラリアやイギリスが充実しています。1年制コースも多くあります。ただしローカリゼーション分野ではそれほど強くないので、上では紹介していません。

やはり残念なのは、日本の大学・大学院に、こういった産業界の現実に対応できる実践的なコースがほとんどないという点でしょうか。

以上です。