翻訳業界では翻訳の「品質」を測定するのに、用語間違いなどの「エラー」の数と重大度を用いる方法がよく使われています。例えばLISAのQAモデルと呼ばれる方法です。エラーで品質を測定する方法には批判もあると以前の記事でも書きましたが、最近ではコンテンツの種類で測定基準を変える方法が提唱されているようです。TAUSという団体の「Dynamic Quality Framework (DQF)」はそういった方法の例で、こちらのサイトに具体的なツールがあります。
以下の写真のように、例えばコンテンツのカテゴリーを「User Interface Text」などと指定します(IT関係のコンテンツに偏っているのが気になりますが…)。

(https://evaluate.taus.net/evaluate/content-profiling/profile-your-content より)
その後で「RECOMMEND QE MODEL」ボタンをクリックすると、品質の制御がしやすい順に測定基準がいくつか推薦されます。以下の写真の通りです。

(https://evaluate.taus.net/evaluate/content-profiling/profile-your-content より)
上から順に、「Usability Evaluation」(ユーザビリティー)、「Error Typology」(エラー)、「Adequacy/Fluency」(正確さと流暢さ)などとなっています。写真にはその3つしかありませんが、実際にはその下にも載っています。残念ながら各項目の詳細は会員しか見られません。またどの項目を推薦するかは、調査結果に基づくもののようです。
まだこのTAUSの方法は広く認知されているとは言えないでしょう。しかしエラーのみによる評価ではなく、コンテンツの種類によって評価基準を変えたり組み合わせたりという方法は興味深いアプローチです。
◆
個人的な意見ですが、翻訳会社や翻訳者にとって、エラーを数えるというのは比較的実践しやすい方法でしょう。例えば上記のユーザビリティー評価をするとなると、エラー評価よりも時間もお金もかかりそうです。だからといってエラーのみで品質全体を評価してしまうと、「本当に評価すべきものを評価する」というより「評価しやすいものを評価する」ことになってしまうのではないでしょうか。
経済学で用いられる喩え話に「街灯の下で鍵を探す」というものがあります。夜の公園で街灯の下に男がいるので、何をしているのか尋ねると、「この公園で鍵を落としたはずだが、他の場所は暗いので、明るい街灯の下を探している」と答えるといったような話です。翻訳品質をエラーのみで評価するというのも、この話に通じる部分があるのではないかと感じます。
以上です。
以下の写真のように、例えばコンテンツのカテゴリーを「User Interface Text」などと指定します(IT関係のコンテンツに偏っているのが気になりますが…)。

(https://evaluate.taus.net/evaluate/content-profiling/profile-your-content より)
その後で「RECOMMEND QE MODEL」ボタンをクリックすると、品質の制御がしやすい順に測定基準がいくつか推薦されます。以下の写真の通りです。

(https://evaluate.taus.net/evaluate/content-profiling/profile-your-content より)
上から順に、「Usability Evaluation」(ユーザビリティー)、「Error Typology」(エラー)、「Adequacy/Fluency」(正確さと流暢さ)などとなっています。写真にはその3つしかありませんが、実際にはその下にも載っています。残念ながら各項目の詳細は会員しか見られません。またどの項目を推薦するかは、調査結果に基づくもののようです。
まだこのTAUSの方法は広く認知されているとは言えないでしょう。しかしエラーのみによる評価ではなく、コンテンツの種類によって評価基準を変えたり組み合わせたりという方法は興味深いアプローチです。
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個人的な意見ですが、翻訳会社や翻訳者にとって、エラーを数えるというのは比較的実践しやすい方法でしょう。例えば上記のユーザビリティー評価をするとなると、エラー評価よりも時間もお金もかかりそうです。だからといってエラーのみで品質全体を評価してしまうと、「本当に評価すべきものを評価する」というより「評価しやすいものを評価する」ことになってしまうのではないでしょうか。
経済学で用いられる喩え話に「街灯の下で鍵を探す」というものがあります。夜の公園で街灯の下に男がいるので、何をしているのか尋ねると、「この公園で鍵を落としたはずだが、他の場所は暗いので、明るい街灯の下を探している」と答えるといったような話です。翻訳品質をエラーのみで評価するというのも、この話に通じる部分があるのではないかと感じます。
以上です。